1: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:00:01.70 ID:c5e7bYk30
■ 第一章 オリジン
目覚まし時計が私を起こす。
まだ半分眠っている頭で停止ボタンに手を伸ばし、二度寝するべく布団をかぶり直した。
その直後、下の階からはがらがらがらっとシャッターの上がる音が響いて、そこに追い討ちをかけるかのようにお腹の辺りにずしんと衝撃が走った。
あー、もう。
心の中でそう叫んで、布団から顔を出すとお腹の上では愛犬であるハナコが尻尾をぱたぱたとさせていた。
ハナコはミニチュアダックスとヨーキーのミックスで、いわゆる小型犬だからお腹に乗られてもたいして重くはない。
重くはないけれど目が覚めるには十分の衝撃だった。
そして、ハナコが私を起こす理由は朝ご飯と散歩の催促だ。
「はいはい、わかったよ」
くしゃくしゃっと頭を撫でてやると、尻尾のぱたぱたを一層早くして、ハナコはベッドからぴょんと飛び降りた。
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2: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:02:11.24 ID:c5e7bYk30
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ハナコと一緒に自室を出て、一階に降りると母が洗い物をしていた。
3: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:02:44.21 ID:c5e7bYk30
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開店まではまだ少し時間があるにも関わらず、店先には既にプランターたちが並んでいた。
4: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:03:15.40 ID:c5e7bYk30
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朝と夜。一日二回のハナコの散歩は私の役目で、日課で、趣味だった。
5: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:03:55.22 ID:c5e7bYk30
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公園中をハナコと駆け回ったせいで、背中にじんわりと汗が滲む。
6: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:04:24.24 ID:c5e7bYk30
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曲がり角の先に、ハナコはいた。
7: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:05:14.42 ID:c5e7bYk30
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もう一度男の人にお礼を言いその場を後にするべく、くるりと回れ右をしたとき、不意に声をかけられた。
8: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:05:40.34 ID:c5e7bYk30
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突拍子もない申し出に面喰ってしまい、何も返せずただただ呆然としていた。
9: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:07:29.94 ID:c5e7bYk30
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男の「立ち話も何ですから」という提案を受け、奇しくもさっきの公園のベンチへと戻ってきたことで思わず苦い笑みが込み上げる。
10: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:07:55.72 ID:c5e7bYk30
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家に戻る頃には、既に店は開いていた。
11: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:08:22.38 ID:c5e7bYk30
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ごろんと寝返りを打って枕元の携帯電話へと手を伸ばし、電源を入れる。
12: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:08:49.73 ID:c5e7bYk30
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ダイニングテーブルには三人分のパスタと大皿に盛りつけられたサラダが並んでいた。
13: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:09:16.41 ID:c5e7bYk30
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次の日の朝、私は自然と目が覚めた。
14: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:09:45.76 ID:c5e7bYk30
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下の階に降りると、父が新聞を読みながらコーヒーを飲んでいた。
15: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:10:52.36 ID:c5e7bYk30
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朝食を食べ終えて、部屋に戻って制服に着替える。
16: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:11:19.84 ID:c5e7bYk30
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ハナコに朝ご飯をあげ、食べ終わるのを待っているとお母さんが起きてきた。
17: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:11:50.66 ID:c5e7bYk30
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お店のシャッターを少しだけ上げて、くぐるようにして外へ出る。
18: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:12:18.81 ID:c5e7bYk30
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家へと帰り、登校までの時間をテレビを見ながら過ごす。
19: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:13:08.92 ID:c5e7bYk30
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結局、考えはまとまらないまま登校時間を迎えた。
20: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:13:42.45 ID:c5e7bYk30
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電車が一駅、また一駅と学校に近付くにつれて、ちらほらと同じ制服の人を見かけるようになる。
21: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:14:10.71 ID:c5e7bYk30
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慌てて電車を降りて、改札を抜ける。
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