10: ◆Rin.ODRFYM[saga]
2017/08/10(木) 00:07:55.72 ID:c5e7bYk30
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家に戻る頃には、既に店は開いていた。
カウンターでせっせとアレンジメントを作っている父に「ただいま」と声をかけ家の中へと入る。
玄関でハナコの足を拭いて、自室へ向かった。
散歩中に出会った例の男からもらったクリアファイルを勉強机の上に無造作に置き、ベッドに倒れ込む。
「はぁ」
自然とため息が漏れるほどに、疲れる散歩だった。
――教えられるのは……輝くこと。
男の言葉が頭の中で反響していた。
輝くと言われても、抽象的すぎてよくわからない。けれど、なぜだかその言葉だけ耳に焼き鏝みたいに残っていた。
天井をぼーっと見つめ、アイドルという世界に思いを巡らしてみる。
ふりふりした衣装を身に付けて、たくさんの人の前で歌って踊る。
そんな自分の姿を脳内で描いて「ないない」と頭を振った。
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