137:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:40:52.02 ID:hojLDG6p0
と、谷風の無線から短信音が響く。谷風は左旋回を始めた。加えて、速度も落ちている。
それを五月雨は見逃さず、旋回中の谷風を後方から狙い撃ちながら、距離を狭めていった。
「あいたっ、ももに当たりやがった!」
138:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:42:02.74 ID:hojLDG6p0
こうして私は二隻に対して無線をつなげた。
「演習やめ!」
私が合図すると、五月雨はこちらを一瞬振り返る。
139:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:43:21.56 ID:hojLDG6p0
それから谷風と五月雨が砂浜に戻ってくると、後続して桟橋に一隻の漁船が接岸した。
すると、漁船から護衛として袴姿の神風型の艦娘を左右に揃えた、五十代の厳ついオールバックの司令官が出てきた。
「ふむ、貴様がここの後継者となった新人少佐か」
140:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:44:52.80 ID:hojLDG6p0
「それで、私になんでしょう……?」
まじまじと五月雨を見回す宇和島基地の司令を前に、彼女は訊き返す。
「五月雨よ。こんなしけた司令部は辞めて、宇和島に来ないか?
141:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:45:54.08 ID:hojLDG6p0
「あの女、貴様はちゃんと教育しているか??」
宇和島基地の司令は私に向かってそう尋ねた。
「もちろんです。およそ一か月で准尉に昇格できる試験を受けられる権利を得るくらいには教育させています」
142:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:47:27.13 ID:hojLDG6p0
「……宇和島基地の少将さんさー、あんたの所の谷風ちゃんも私の司令には敬語喋ってなかったよー。それに、今の発言なに? セクハラで訴えられても知らないよー」
妹は私の横に立つと、宇和島基地の司令の言葉に動じず反論した。
「ふん、我に口出しするとはたいした度胸だ。まぁ、貴様らのようなしけた場所にいる輩に敬語なんていらんから谷風もそうしているだけだ。なぁ、谷風?」
143:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:48:18.94 ID:hojLDG6p0
こいつは真性の、クズだ。
「谷風ちゃんは、それでいいの??」
妹が谷風に訊く。
144:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 19:59:21.45 ID:hojLDG6p0
クズ司令官はそう言うと、再び妹の近くへとやってきた。
「お前も一緒に乗っていくか? みっちり『教育』させてやるから、いい子になるぞ」
その言葉が怖かったのか、妹は私の手を反射的に強く握る。私も妹の手を握り返した。
145:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 19:59:48.12 ID:hojLDG6p0
「五月雨も大丈夫か?」
私は手招きして五月雨に呼びかける。五月雨は我に返ると、こっちに来た。
「私は大丈夫です。……動揺してしまいましたけど……」
146:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 20:00:54.98 ID:hojLDG6p0
***
その日の夜は、明日に備えて二十一時半には消灯した。
が、なんか下がどたどたと煩い。寝室の下階と言うと五月雨の部屋だが、壁を叩いているのかそんな感じの音がこっちにまで響いてきた。
147:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 20:02:08.28 ID:hojLDG6p0
突然抱きしめられ、私はどうしてよいか分からなかった。
「……司令は、私のこと、撫でたり、抱きしめてくれたり、しないんですか??」
い、いや、こんなかわいい五月雨を撫でたり抱きしめたりしたらいけない気がするのだ。
214Res/213.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20