138:名無しNIPPER
2017/08/09(水) 17:42:02.74 ID:hojLDG6p0
こうして私は二隻に対して無線をつなげた。
「演習やめ!」
私が合図すると、五月雨はこちらを一瞬振り返る。
直後、我に返ったかのように連装砲を仕舞い、しゃがみ込んだ谷風のもとへと駆け寄った。
「わわっ、谷風ちゃん、大丈夫? ごめんね、ちょっと私、やりすぎちゃった……」
無線からいつもの口調の五月雨の声が聞こえる。五月雨は谷風に手を差し伸ばした。
「いや、だ、大丈夫だよぉ。それに気にしなくていいよ。本気出して欲しいって言ったのは、あたしだからさ」
「でも明日の北上さんの昇進試験、一緒に頑張って欲しいのに、こんなに谷風ちゃんの脚を傷つけちゃった……」
谷風のももは赤く腫れていた。模擬弾とはいえ、被弾すると無傷で済むわけではない。
「だいじょぶだいじょぶ! こんなの入渠すればすぐに治るさ! 五月雨中尉の風呂貸してくれない??」
「もちろんいいよ! 使って使って!」
「有難い! これでかつる!」
二人はそんな会話をしながら砂浜へと戻ってくる。その後方には、さっきフィールドの近くにいた漁船もこちらへと向かって来るのが見えた。
「さっきのあの漁船、どうやら五月雨と谷風を追っているようだが?」
私が五月雨と谷風に無線を入れる。
「……あ、それは、あたしのとこの司令官さまが乗ってるんだよ」
「え?」
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