1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/25(木) 23:24:05.59 ID:FJ75OzKBo
===
寂しい夜の帰り道。うすぼんやりとした電灯の下、怪しい露天商が目に入った。
何を売っているのかと冷やかし半分で近寄ると、
小汚い机を前にした店主の女はいかにも胡散臭い笑顔を浮かべてこう言った。
「お兄さん、疲れてますね?」
「ああ、疲れてる」
「癒しが欲しいと」
「思ってる」
「では、こちらの商品なんてどうでしょう」
女が言って取り出したのは、まるで小動物を飼うようなケージだった。
冷たく光る鉄格子の隙間から、そいつはこっちを覗いていた。
大きな丸い二つの目が、妙な熱を持って俺を見上げてる。
「いくら?」
女が指を三本立てた。
俺はズボンのポケットから小銭を出すと、机の上に放り投げた。
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2:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:28:47.23 ID:FJ75OzKBo
「んじゃ」
「えっ」
3:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:30:48.92 ID:FJ75OzKBo
===
汚く狭い我が家に戻ると、俺は小さなテーブルの上にケージを置いた。
部屋の電気が眩しいのか、そいつは手びさしを作って俺を見上げてる。
4:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:32:16.34 ID:FJ75OzKBo
「……まゆ」
「ぴー」
5:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:34:06.74 ID:FJ75OzKBo
「ぴー?」
こくり、首をかしげて甘えたような声を上げた。
6:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:35:23.44 ID:FJ75OzKBo
「ご苦労さん」
心にもない労いだったが、しかし、まゆは嬉しそうに笑って鳴いた。
7:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:37:25.54 ID:FJ75OzKBo
===
疲れた夜の帰り道。うすぼんやりとした街灯の下、昨夜の露天商が目に入った。
またも冷やかし半分で近寄ると、小汚い机を前にした店主の女がワケ知り顔で笑いこう言った。
8:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:39:02.41 ID:FJ75OzKBo
「んじゃ」
「待って」
9:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:40:14.36 ID:FJ75OzKBo
===
家に戻ってケージを見ると、まゆはスヤスヤと眠っていた。
シーツ代わりのティッシュを被り、もこもこした綿の地面に転がっている。
10:名無しNIPPER[sage]
2017/05/25(木) 23:41:44.18 ID:FJ75OzKBo
「中もな、凄いぞ?」
パカリ。扉を開けて、フリフリの沢山ついた衣装をテーブルの上に出してやる。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/26(金) 05:41:06.69 ID:ITLnBlnlO
付属品で元をとっていくスタイルぅ……。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/05/26(金) 08:17:28.80 ID:ur82hSzkO
ちょっと露天商探してくる
13:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 09:19:52.04 ID:x4PkWtP90
最初は格安か無料で引き寄せ、後々キャラの強化やゲット率を有料にして儲ける…
あれ?この方式を俺は知ってr
14:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 09:22:41.42 ID:E+JdGfW7o
……君のような勘のいいPは嫌いだよ
15:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 12:46:53.52 ID:iNJoj19tO
この露天商は一体何ち◯ろなんだ?
16:名無しNIPPER[saga sage]
2017/05/26(金) 19:22:52.31 ID:CAU4KMeYo
===
「ぴー、さん。ぴー、さん」
奇妙な声で目が覚めた。朝、久方ぶりの休みだった。
17:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 19:25:19.72 ID:CAU4KMeYo
「……ぴーさん?」
現実だった、妄想ではない。
幻聴の類も疑うが、すぐにまた「ぴーさん」と呼びかけられたので諦めた。
18:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 19:26:32.75 ID:CAU4KMeYo
チラリ、横目で奴を見た。
相変わらずの愛らしさで、こちらをジッと見つめている。
19:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 19:27:41.28 ID:CAU4KMeYo
「ぴ……」
恐る恐ると言った様子で、まゆがケージの外へ踏み出した。
それからぱたたたた、と音がしそうな足取りでテーブルの端までやって来る。
20:名無しNIPPER[sage]
2017/05/26(金) 19:29:14.23 ID:CAU4KMeYo
===
日用品を買った帰り道。見知った露天商が目に入った。
渡りに船とはこのことだと近寄ると、真新しい机を前にした店主の女がこう言った。
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