66: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 18:25:56.12 ID:rQ/7d1wt0
獄原 「してないって」
王馬 「ふーん。だったら、他に思いあたることないの?」
猫……猫といえば、飼っていたあいつくらいしか……まさか……あいつの身になにかあったか?
67: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 22:12:26.67 ID:rQ/7d1wt0
王馬 「星ちゃん、ゴン太泣かしたんだー。健気に星ちゃんのことを考えてるゴン太を泣かせるなんて、どうしてそんなヒドいことするのさ!」
『お前は少し黙ってろ』
俺の言葉自体は通じないが、鳴いて睨めば俺がなにを言っているかの想像はつくはずだ。とくにコイツだからな。解らないはずがない。
68: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 22:13:10.10 ID:rQ/7d1wt0
王馬 「ねぇ、キミらが何話してんのか、俺さっぱりなんだけどー? 仲間ハズレやめてくんなーい?」
獄原の通訳がなければ、ただの猫の鳴き声にしか聞こえていない王馬は、自分が理解できないうちから話を進めている俺達の様子に、不満気に唇を尖らせていた。
獄原 「星君…しばらくこのままでいたいって……」
69: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 22:19:16.45 ID:rQ/7d1wt0
王馬 「とにかく、星ちゃんがどうしたいかなんだよね。ガチで野生の猫になりたいなら、これまでの星ちゃんとの思い出も泣く泣く忘れて“目の前の迷い猫”を今すぐにでも引っ掴んで追い出さないといけないからさ」
獄原 「そ、そんな…」
獄原の顔が青褪め、俺を見る。
70: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 12:25:39.45 ID:Yn/S07zg0
獄原 「ま、待ってよ! 王馬君!! もう少し話し合おうよ!」
王馬 「もう充分話したと思うけど? まだゴネる気?」
立ち塞がる獄原に、王馬は眉を顰めて見上げ、溜息を吐く。話し合いたい獄原と、さっさと行動に移したい王馬との対立。対立の原因である俺としては、獄原が大人しく退いてくれる方が助かるんだが。いや、待てよ ────
71: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 12:27:44.20 ID:Yn/S07zg0
『……王馬、どういうつもりだ?』
獄原 「王馬君。星君がどういうつもりだって訊いてるよ?」
獄原 「寄りたいところにいってらっしゃいってことじゃないの……?」
72: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 12:28:24.56 ID:Yn/S07zg0
『王馬』
獄原 「あ、王馬君」
王馬 「ん? なに?」
73: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 18:07:45.33 ID:Yn/S07zg0
良くないことをしている自覚からの罪悪感と、猫に触れている興奮で、心臓は今にも爆散して臓物をぶち撒けてしてしまうのではないかと、危機感すら覚えるほど荒々しい。呼吸も喉で詰まるようでままなっていない。
74: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/16(木) 18:08:23.56 ID:Yn/S07zg0
私の問いかけに、猫は“にゃー”と鳴いて答える。もしかして、言葉が解るのか? いや、解っていようといまいと、いきなりこんな知らない場所に連れ込まれたら、不安にもなるか。その気持ちはよく解る。解るのだが──
「私はお前を手離したくない…」
「できることなら、ずっと私の飼い猫として、ここにおいておきたい」
75: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/17(金) 23:17:27.39 ID:JYcML8FE0
辺古山が出ていってから、寝たフリをやめて目を開ける。
まず考えたのは、部屋で別れた獄原のことだ。
76: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/17(金) 23:18:52.76 ID:JYcML8FE0
(だが……)
ここに来るまでの間に蘇った、あいつがいて、テニスができさえすれば概ね満たされていた頃のような“生きている”と実感し、高揚したあの感覚──
全てが許された気がした
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