68: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 22:13:10.10 ID:rQ/7d1wt0
王馬 「ねぇ、キミらが何話してんのか、俺さっぱりなんだけどー? 仲間ハズレやめてくんなーい?」
獄原の通訳がなければ、ただの猫の鳴き声にしか聞こえていない王馬は、自分が理解できないうちから話を進めている俺達の様子に、不満気に唇を尖らせていた。
獄原 「星君…しばらくこのままでいたいって……」
王馬 「あー。そりゃそうだよねー。人間に戻ったって、ここを出ちゃえば、いずれは絞首刑で処される身だもんね」
王馬 「そりゃ戻りたくないよねー」
獄原 「でも……それでもやっぱり……間違ってるままなのは……っ……ゴン太には解らないよ……」
ㅤ獄原の啜り泣く音だけが聞こえる中、王馬が口を開いた。
王馬 「だったらオレが星ちゃん飼うよ!」
『は?』
ㅤ自分の耳を疑い、次に王馬の頭を疑った。
獄原 「えええっ?!」
この発言に、さすがの獄原も困惑の声をあげた。
唐突にこいつは……本気で言ってるのか?
王馬 「元人間、元クラスメイトの猫なんて、ペットとしてつまんなくなくて、サイコーじゃん!」
王馬 「喋れたらもっとレアだったのになぁ」
俺達の困惑に構わず、王馬は愉快気で饒舌に、勝手なことを言いはじめた。
王馬 「このままでいいって言うけどさ、星ちゃんだって、本当なら困るでしょ? 自分の面倒を自分でできないんだからさ」
王馬 「でも、この学園基本ペット禁止だから、この提案って、星ちゃん次第なんだよね」
王馬 「野生の獣としてやってくつもりなら、それならそれで構わないよ? 星ちゃんが選んでよ」
確かに。いきなり猫になっちまった俺が、そのままいきなり外に出て、いきなり野生猫の生活をするというのは難しいモノがある。だが、あの監獄の中にも慣れたんだ。どれだけ過酷だろうが、劣悪だろうが、いずれは順応できる自信はある。
『テメェに飼われるのだけはゴメンだぜ』
獄原 「えっと……王馬君に飼われるのだけはイヤだって……」
王馬 「だよねー! 知ってた!」
王馬 「じゃあ、ゴン太が飼う?」
獄原 「飼うって言いかたはしたくないから、一緒に暮らすって言わない?」
『それはそれでどうなんだ……?』
というか、いつの間に当然のように、俺を飼う飼わないの話になってやがる? 一番安心できる、田中のような才能持ちに任せるだとかの発想はないのか? いや、そもそも俺の意見をきけ。
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