67: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 22:12:26.67 ID:rQ/7d1wt0
王馬 「星ちゃん、ゴン太泣かしたんだー。健気に星ちゃんのことを考えてるゴン太を泣かせるなんて、どうしてそんなヒドいことするのさ!」
『お前は少し黙ってろ』
俺の言葉自体は通じないが、鳴いて睨めば俺がなにを言っているかの想像はつくはずだ。とくにコイツだからな。解らないはずがない。
王馬 「それ、怒ってるつもり? 迫力に欠けるねぇ」
挑発するように両腕を広げてくつくつと笑う。こいつを黙らせるなら、確かに人間に戻った方がよさそうだ。
獄原 「どうしてふたりは直ぐに争うの? こんな大変な問題が起きているときは協力し合うべきだよ……」
睨みあう俺たちに、悲しそうな表情をした獄原は弱々しく呟く。ついに気持ちが決壊した獄原の瞳から、涙が伝い落ちていく。
王馬 「あーあ、マジで泣いちゃったよ」
王馬 「星ちゃんのせいだからね!」
『……』
それに関しては否定できない。王馬と言い争うことで結果、獄原の涙は流れた。大元の原因は俺にある。このままそっとしておいてくれたほうが、俺にとってはありがたいんだが……やれやれだぜ。
『獄原…あんたの気持ちは充分伝わってる』
『だけどな、戻れるのかどうかは解らねぇが、死刑囚である俺にこの先がない以上、今の姿の方がまだ生きている意味を見いだせるかも知れねぇんだ』
『しばらくこのままでいさせて欲しい』
獄原 「……うぅっ」
俺の言葉で獄原がなにを思ったのかは解らないが、なにかを言い返すこともなく、黙ってはらはらと涙を零す。
(悪いな、獄原)
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