【ゆるゆりSS】きもちに寄り添う数秒間
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:54:15.85 ID:49voo3/L0
「あーあ、今年の夏休みはいっぱい夏らしいことしたいなー」
「今してるし」
「これもそうだけど、もっといっぱい! ちゃんとしたプールも行きたいし、海も行きたいし、キャンプも行きたいし〜」
「そんなに遊んでばっかりだと、またひま姉に勉強しろって怒られるよ?」
『その通りですわ』
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:55:13.49 ID:49voo3/L0
「向日葵は……」
「?」
「向日葵は、何かしたいことある?」

 櫻子はゆらゆらときらめく足元の水面に目を落としながら、向日葵にぽつりと尋ねてみた。べつに特段不自然な会話というわけでもないのに、なぜだか少しだけ心がむずがゆかった。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:56:24.61 ID:49voo3/L0
「行けし」
「うひゃーっ!」

 櫻子が固まっていると、花子に頭からホースの水をかけられ、櫻子は思わず身を縮こめた。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:57:04.63 ID:49voo3/L0
「……いつ行くの?」
「え?」
「図書館。行くんでしょ。しょーがないから私もついてったげる」

 向日葵はその返答を聞き、一瞬目を丸くして驚いたが、やがてふわりとした笑みに戻り、
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:00:49.15 ID:49voo3/L0


 結局、お昼ご飯を食べた後、図書館には花子と楓も含め四人で行くことになった。
 櫻子は読みたい本を見つけたわけでも、じっと読書に集中できたわけでもなかったが、マンガ形式で偉人を紹介する本を見つけてぱらぱらとめくってみたり、楓が選んだ絵本を端の方で静かに読み聞かせてあげたりと、そこそこ楽しく過ごせていた。

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:02:18.74 ID:49voo3/L0
「見つかりましたの? いい本」
「ううん。でも、向日葵のと一緒でいいよ」
「だめですわ。ちゃんと自分が読みたい本にしないと」
「向日葵が読んでるものを私も読みたいの!」
「えっ……?」
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:03:14.83 ID:49voo3/L0
 会計を済ませている間、図書館で借りた本を持って外で待っていた向日葵が、コンビニのガラス裏に貼られていたポスターのひとつに目をやっているのを、櫻子は見かけた。
 自動ドアから出て袋のアイスを手渡しながら、向日葵が見ていたポスターに目を留める。
 それは、ここから少し離れた地域でやっている花火大会の広報用ポスターだった。珍しく7月中に開催されるらしい。昨日もちなつたちと近所で行われる夏祭りにはみんなで行こうと約束したばかりだったが、向日葵がやけに興味深そうに見つめているのが気になった。

「……」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:04:37.00 ID:49voo3/L0


 夜空に咲き誇る色とりどりの大きな花火。
 それに照らされる、向日葵の横顔。
 からからと下駄を鳴らして歩く、浴衣姿の向日葵。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:05:24.28 ID:49voo3/L0
「これ、こっちで合ってるんですの?」
「わかんないけど、みんなこっちに向かってるじゃん!」

 駅前から続く人の列はゆっくりと一定の方向に流れている。櫻子と向日葵はよくわからないままにそれに流されていく。二人とも、花火を見るための専用席を予約したわけでもなかったし、このあたりはそんなに来たことがないため土地勘もない。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:07:09.87 ID:49voo3/L0
 そこにいたのは、クラスこそ違うが七森中で櫻子が仲良くしている同学年の友人たちだった。みんな同じ部活で、練習の帰りにそのまま立ち寄ったのか、体操着姿のままで屋台街をめぐっていたようだった。

「おおー!」
『来てたんだ! すっごい偶然!』

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 23:08:19.59 ID:49voo3/L0
「……」

 向日葵が「それじゃ」と手を振って足早に去っていく。櫻子はその後ろ姿をただ見つめていた。
 今の今まで帰ろうとしていたのは事実だ。思っていたよりも人混みがすごくて大変で、落ち着いて花火を見られるような状況じゃないし、はっきり言って楽しくない。自分のペースで歩くこともできず、喧騒にかきけされて会話もまともにできず、想像していた花火大会の良さはここにはなかった。

以下略 AAS



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