12:名無しNIPPER[sage saga]
2024/09/07(土) 22:57:04.63 ID:49voo3/L0
「……いつ行くの?」
「え?」
「図書館。行くんでしょ。しょーがないから私もついてったげる」
向日葵はその返答を聞き、一瞬目を丸くして驚いたが、やがてふわりとした笑みに戻り、
「それじゃ、お昼を食べたら行きましょうか」
そう言って、楓を呼びに自分の家へと戻っていった。
その笑顔が妙に脳裏に焼きついて、後ろ姿もどことなく嬉しそうに見えて。
櫻子はショートパンツの中にまで染み込んでくる水の冷たさを感じながら、その後もしばらく虚空を見つめて、向日葵のことを思い浮かべていた。
やっぱり着いてきてほしかったのかもしれない。これまでもずっと、一緒に行きたかったのかもしれない。それを私は、何も考えずにずっと断り続けていたのかもしれない――。
急に大人しくなってしまった櫻子を不思議そうに見つめつつ、微笑ましい気持ちになっていた花子は、言葉をかける代わりに手で掬った水を優しく頭からかけた。
「えらいし、櫻子」
「な、なにが」
犬のようにぷるぷると顔を振って水気をきる。
「ひま姉、嬉しそうだったし。この前まであんなにケンカしてたのに、すぐ仲直りできてすごいし」
花子の無邪気な笑顔を見て、ついこの間まで向日葵とのケンカで不安な思いをさせてしまっていたことを櫻子も思い出す。
向日葵の表情が柔らかくなったのも、花子を笑顔に戻せたのも、ぜんぶハンガーなんちゃらのおかげなのかもしれない。腰元の水をちゃぷちゃぷと手で掻きながら、櫻子はぽつりと呟いた。
「嬉しいのかな、こんなので」
「ひま姉はきっと、嬉しいって思ってるし」
「ふーん……」
「あ、図書館行くならついでに花子が借りてた本も渡すから返してきてね」
「行く用事あったんかい! 花子も来ればいいじゃん!」
「花子はこのプールで午後も楓と遊ぶっていう用事があるんだし」
「ずるい! 私がそっちやるから、花子が向日葵と図書館行ってきて!」
「それじゃ意味ないし!」
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