映画の脚本を書いて、ひとりの女の子と出会った話。
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36:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 21:44:36.33 ID:e+s7r/2n0
映画は大体30分ほどの作品だった。
上京したばかりのヒツジという女の子を巡る
その物語は映像としてスクリーンに映し出されていった。
37:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 21:45:36.24 ID:e+s7r/2n0
映画のエンドロールが流れる頃には
気がつけば俺は心を打たれていた。
ただの素人の集まりが作った作品であることは確かだった。
38:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 21:46:58.30 ID:e+s7r/2n0
「映画、悪くなかったろ」と監督は言った。
俺は何も言わずに一度だけ頷いた。
「あんな風にまとめたんだな」
39:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 21:48:24.23 ID:e+s7r/2n0
大学の文化祭は、毎年11月の初めに行われる。
学祭の開催中は、学内の同好会にも自由展示として空き教室の使用許可が出る。
ただし、俺たちは端っこの余り物しか用意されていなかった。
40:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 22:16:21.29 ID:e+s7r/2n0
「今月は仕送りを止められてしまったので」
「何かあったのか?」
41:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:44:45.73 ID:e+s7r/2n0
ビラ配りは朝方から正門のあたりで始めた。
俺は淡々と無心で紙を配っていたが、
ヒツジは客に声をかけるために辺りをあちこち駆け回っていた。
42:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:45:20.49 ID:e+s7r/2n0
「あの、もしかしてヒツジさんですか?」
適当に入ったクレープ屋で
赤いキャップを被る女の子に声をかけられ、
43:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:46:02.17 ID:e+s7r/2n0
「……すみません、ああいう時どうすればいいか分からなくて」
休憩所に設けられた椅子に座ると、
彼女はそんなことを呟いて隣で項垂れていた。
44:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:48:13.07 ID:e+s7r/2n0
「映画の評判は割と良いみたいだな」
ちらほらと飛び込んでくる感想は賞賛のものが殆どだった。
「そうみたいですね」
45:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:49:37.99 ID:e+s7r/2n0
「もう脚本は書かないんですか?」
「さあ、どうだろう」
正直なところ、もう書く気はなかったけれど
46:名無しNIPPER[saga]
2024/08/15(木) 23:50:05.82 ID:e+s7r/2n0
俺は彼女の横顔に何かを言いかけたが、
そのままその言葉を飲み込んだ。
彼女になんて言えばいいのか
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