68: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2022/10/11(火) 23:05:43.47 ID:GA2SequC0
銃声。警察官が使う小口径の拳銃などよりは遥かに重いものでこそあれ、それは明確に通常の歩兵火器が奏でた単発のものです。
戦場という広い括りで見れば聞こえるのは当然かも知れません。ですが、砲弾が飛び交いミサイルが入り乱れ戦闘機が空を駆け巡る“海戦”においては、朗らかな歌声に匹敵するほど──何れかの艦隊の那珂ちゃんさんがいる場合その限りではないかも知れませんが──場違いなものでした。
最終的に三度まで、銃声は鳴り響きました。艦娘としての優れた動体視力が、まさに対空兵装を構えつつ回避運動に移っている綾波たちと降下してくる敵編隊の間を遮るようにして、同じ数の銃弾が飛び込んでくる瞬間を捉えます。
69: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/10/11(火) 23:08:24.22 ID:GA2SequC0
落とされた機影は恐らく20を超えるでしょうか。この物理的な損害も、向こうにとって決して小さなものではありません。
ですが深海棲艦側から見てそれより遥かに致命的であったのは、ヘルキャット隊に“群れ”の打通を許したという事実そのものでした。
『───! ───ッッ!!』
70: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/10/11(火) 23:10:34.18 ID:GA2SequC0
「全艦、最大船速で離脱するにゃ!!」
「「「了解!!」」」
芸術的と言っても過言ではない、惚れ惚れするような航空戦でしたが、見惚れるわけには行きません。多摩さんの号令が下るまでもなく、我々6人は一斉に旗艦を吹かし、“群れ”の真下から逃れます。
71: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/10/11(火) 23:12:59.67 ID:GA2SequC0
推定150機超。これは、改装前の加賀さんと赤城さんに搭載可能な最大艦載機数の合計値に匹敵します。数字的な面だけで言えば、一航戦が根刮ぎ消滅したような状況です。
普通の空母機動艦隊ならそれだけでも致命傷足り得るものになりますが、深海棲艦側は少なくとも10を越える同じ規模の“群れ”を他の友軍艦隊にも差し向けていました。そしてその全てが──文字通りの“全滅”は綾波たちのところぐらいにしろ──致命的な損害を受けて跳ね返されています。
1000には確実に達する、空母機動艦隊の一つ二つどころか小国の総航空兵力にさえ比肩しかねない数の機体。それを喪いながら、寧ろ更に大規模な戦力を以て即座に“次”の攻撃を敵艦隊は繰り出してきたのです。
72: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/10/11(火) 23:14:38.65 ID:GA2SequC0
規模はこれらに赤城さんやホーネットさんの航空隊を併せても尚“群れ”には遠く及びませんが、お二人が出鼻を挫いたことで向こうが抱えていた「数的優勢」は既に霧散していました。
四方八方あらゆる方向から突き入れられる何百条もの火線に削られ、風船から空気が抜けていくかの如き勢いで萎んでいきます。
(,,゚ ゚)《Engage!!》
73: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/10/11(火) 23:18:15.26 ID:GA2SequC0
無線上でワイバァンを名乗ったその機体は、下から上へと突き上げる形で一気に“群れ”を貫きます。動きはそれで止まらず、飛び上がったイルカのような姿勢から近現代の航空機には疎い綾波でも舌を巻いてしまう卓越した航空技術であっという間に機首を再度下方───最早完全に総崩れとなった残余の“群れ”へと向けました。
(,,#゚ ゚)《FOX-2!!!》
最後の一発である銀槍が、機銃弾と共に放たれます。鉄火の暴風と爆炎の嵐が、“群れ”に叩きつけられます。
74:名無しNIPPER[sage saga]
2022/10/12(水) 10:43:18.01 ID:1mB7AO9c0
更新おつです
この状況から投入できる予備戦力があるとは思いませんでした
もしかして人類側も無尽蔵?、などと勘違いしそう
75: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2022/11/03(木) 23:24:52.93 ID:1N4dwLvb0
300隻以上、艦隊数で換算して実に50個超。これが本当なら、ベルリン陥落の折に独波国境にて発生した【オーデル川防衛戦】とほぼ同規模です。
妖精さんの内1人と視界を同期させ綾波自身も敵艦隊を見てみましたが、それが過大評価や誤認という線は残念ながらありませんでした。こちらへ押し寄せる大艦隊の威容は、報告上の数字と比しても全く見劣りするものではありません。
『『『ゴガァアアアアアアアアアアアアッ!!!!』』』
76: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/11/03(木) 23:27:57.08 ID:1N4dwLvb0
約30km。増援艦隊の1人である朝潮さんが叫んだこの数字は、35.6cm連装砲の最大射程距離でもあります。
最大射程とは、あくまでも「砲弾が辛うじて届く距離」を示すもので、命中率や威力がある程度担保される“有効射程距離”ではありません。
砲撃が行われるとしても威嚇や牽制が主目的であり、基地施設やそれこそ学園艦のように相当巨大な目標でもない限り命中を見込むことは本来できないでしょう。
77: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/11/03(木) 23:33:15.15 ID:1N4dwLvb0
『『『ゴギャアアアアアアッ!!!?』』』
『グゥッ…………!?』
三度目の斉射となりましたが、扶桑さんの照準には寸分の狂いも生まれる気配はありません。全弾それぞれが吸い込まれるようにして敵艦を射抜き、電探上から命中弾と同じ数だけ赤点を消し去ります。
78: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2022/11/03(木) 23:37:07.27 ID:1N4dwLvb0
物量面で圧倒的に上回っているとはいえ、位置関係としては三方から包囲されている状態。加えて先鋒群が此方の初撃で機能停止し“皮算用”が早々に挫かれているとなれば向こうが事態の打破を急ぐのは無理からぬことでしょう。
逆に現時点で唯一組織的な艦隊行動に移れている正面艦隊を殲滅すれば、あとに残った戦力を左右に分断できた形へと変わります。しかる後両翼に部隊を割り振って各個撃破できることを考えれば、戦術的に間違った判断でもありません。
……故にこそ敵艦隊の旗艦たちは、こちらの動きをもう少し注意深く観察するべきでした。
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