星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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37: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:13:44.30 ID:Sev9O2YP0
結局彼女は当日で退院し、自宅に帰る事が出来た。
彼女は家のベッドに座っている。夜中だというのに、明かりも点けずに真っ暗な部屋で膝を抱えている。
辛い、辛い、辛い、辛い、辛い。
顔から血の気が引いているのが分かる。
唇の感覚がなく、漠然とした絶望感が頭の中に充満している。
以下略 AAS



38: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:15:23.24 ID:Sev9O2YP0
アイドルは……楽しかった。
自分のメタルは、ファンの皆を楽しくさせられた。
そう思っていた。
楽しかった。
楽し、かった。
以下略 AAS



39: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:16:28.73 ID:Sev9O2YP0
彼女が倒れてから数週間が経過した。
いつものように、自室のベッドで目を覚ました。
早朝、まだ日は高くないが、数時間後には猛暑が押し寄せてくるだろう。
いつまで続くかわからない長い長い真夏日、そこから切り取られた今日一日。
今日はライブの日だった。
以下略 AAS



40: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:17:18.56 ID:Sev9O2YP0
「輝子ちゃんまだかな〜?」「俺三人で一番推してんだよね!」「あ、来た!!」

会場は満員だ。みんなが彼女に期待している。
拍手と歓声を浴びながら、ステージ上に歩く。
教えられた通り手を振ったり会釈したりとファンサービスも忘れない。
以下略 AAS



41: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:18:53.01 ID:Sev9O2YP0
「今日は、みんなに謝らなくちゃいけない」

客席を見回し、彼女は続ける。

「私は本当はキモいやつで、だから、当たり前なんだけど、誰からも、距離を置かれてて・・・
以下略 AAS



42: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:20:09.28 ID:Sev9O2YP0
それは、怒り。
自身に対する怒り。メタルを、キノコを、幸子ちゃんを、小梅ちゃんを、今日ここに来てくれたみんなを裏切った、
どうしようもなく下種な自分。

それは、悲しみ。
以下略 AAS



43: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:21:21.14 ID:Sev9O2YP0
客席で、男性客が何かを叫んでいた。
スタッフに襲われる中、輝子は形だけの抵抗として、マイクを体の中心に抑え込む。
抑え込みながら、男性客の声を聞いた。

彼は。大きく口を開いて、叫んだ。
以下略 AAS



44: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:22:37.34 ID:Sev9O2YP0
「やっと、やっと!!」

離れたところから声が聞こえた。
そこを見ると、やはり見覚えのある顔があった。

以下略 AAS



45: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:23:26.82 ID:Sev9O2YP0
暫しの間唖然としていたスタッフが我に返る。
これ以上好きにさせてはならない。そう思い、スタッフは彼女に覆い被さるように突っ込んだ。
輝子はスタッフと揉みあった。絶対に取られまいと、マイクを胸に抱えた。
やがてなかなか彼女を止められないスタッフは痺れを切らし、苛立ちのまま思い切り彼女を突き飛ばした。
彼女は足をもつれさせ、そのまま倒れる。
以下略 AAS



46: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:24:22.14 ID:Sev9O2YP0
「お前、やりやがったな。みんなを裏切ったな。可愛いお前が好きなみんなを騙して、
よくもまあこんなバカみたいな事をしでかしたよな。本当に気持ち悪い。本当に……」

『それ』は、輝子に手を伸ばし……

以下略 AAS



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