星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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41: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:18:53.01 ID:Sev9O2YP0
「今日は、みんなに謝らなくちゃいけない」

客席を見回し、彼女は続ける。

「私は本当はキモいやつで、だから、当たり前なんだけど、誰からも、距離を置かれてて・・・
それが、辛くて、でも・・・それが、私って、思ってたんだ」

「だから今、みんなにこんなに、愛されているのが……ちょっと、信じられないくらいなんだ」

彼女は深く頭を下げた。

「本当に、ありがとう。だから、ごめんなさい……」

観客は謝罪の意味を理解していないが、彼女に歓声を送る。
歓声を受け、輝子は顔を上げる。
マイクを強く握り、言った。

「今日は、全力で、唄います」

静かに、強く、覚悟の決まった声で、言った。

「『死ぬ』つもりで、唄います」

観客はその言葉を聞いても笑みを貼り付けたまま、曲が始まるのを待っていた。
よくある言い回しだ。不思議に思う事などなかった。
その覚悟に気付く事などなかった。
彼女は俯き、目を瞑った。
その時を待って。
その時を……

その、時。
大気を震わすほどの轟音が響いた。
観客は驚く。突然の鼓膜への刺激に不快そうに顔を歪める。
いや、観客どころかスタッフまでもが驚いていた。
こんな曲、予定にない。

慌てふためく人の中、ただ一人輝子は冷静にマイクを握る。
訳も分からず辺りを見回す者、耳を塞ぐ者、呆然と立ち尽くす者。
多種多様な反応をする観客に向け、彼女は思い切り叫んだ。
何を?こんな状況で、彼女は何を叫んだのか。


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