星輝子「真夏みたいに気持ち悪い」
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44: ◆xa8Vk0v4PY[saga]
2022/06/06(月) 01:22:37.34 ID:Sev9O2YP0
「やっと、やっと!!」

離れたところから声が聞こえた。
そこを見ると、やはり見覚えのある顔があった。


「輝子が帰ってきたんだよ!!!」


輝子は、スタッフの腕を振り払った。
急な動きに動揺したスタッフの隣に回り込み、マイクを奪い取った。

彼は驚きつつも、再び奪い返そうと彼女に手を伸ばした。
その腕を躱し、大きく息を吸う。スタッフを睨みつけつつ、『それ』の準備をする。
彼は本能で何かを感じ取った。
彼だけではない。このステージにいる全ての人間が、『それ』を感じ取った。
その危うさを感じ取った。その恐ろしさを感じ取った。

まるで妖怪。幽霊。化け物。


──悪魔。


その気持ち悪さを感じ取った。


「ヒィィィィィイヤッハァアアアアアアアア!!!」


彼女は、大きく、大きく叫ぶ。
曲はまだ終わっていない。
彼女の慟哭は終わっていない。
彼女は客席をもう一度見た。
蔑むような視線があった。怒りを孕む瞳があった。
だが、期待を向けた顔があった。歓喜に咽ぶ笑顔があった。
この星輝子を望む者が、確かに存在したのだ。
膨大な自己否定と僅かな賞賛を一身に受け、彼女は唄う。叫ぶ。闘う。
彼女のダンスはキレを増す。歌声は観客の心を、快不快を問わず、大きく大きく震わせる。


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