117:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:12:56.42 ID:XVB8s0iW0
「世界の目」を手に入れるには、
まず何よりも隠遁後のロキ・ロプトの動向把握が必要だった。
彼らの現状、特に『無』の力の状態を明らかにしないことには、
「世界の目」強奪に取りかかるには危険すぎた。
118:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:13:34.09 ID:XVB8s0iW0
17 「竜」の力
エーシル=ロキは次子たる人間を愛したが、
長子たる混沌神族のことも同じほどに愛していた。
人間と同じく手厚く育てあげ、
119:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:14:00.59 ID:XVB8s0iW0
とはいえ、これは反感の一部分に過ぎなかった。
人間に対する負の感情、その大元はさらに昔、もっと根深いところにあった。
それはエーシルの選択、ロキとロプトへの分離である。
120:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:14:27.36 ID:XVB8s0iW0
こうして負の感情に傾いていった混沌神族の中から、
ついに行動を起こした存在が現れた。
彼は「混沌の使徒」、あるいは「竜王」と呼ばれていた。
121:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:14:54.11 ID:XVB8s0iW0
だが、そんな彼も豹変してしまう。
善良なる神は突如、
享楽かつ悪辣な神へと変じたのである。
122:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:15:23.77 ID:XVB8s0iW0
彼らの力は共にOMNEではないものの、
かのエーシルが己の力を注いで創りだしたものである。
それゆえ部分的にはOMNEの力に準じるほどであり、
特に共通して強大な点は「上限」が無いことであった。
123:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:15:50.21 ID:XVB8s0iW0
当然、次に起こったことは更なる悪夢だった。
竜王はその全能のごとき力を存分に悪意によって行使し、
人間界の悉くを狂わせ破壊した。
124:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:16:22.60 ID:XVB8s0iW0
その上、竜王が賢者・魔女の領域に
干渉し始めるのも時間の問題だった。
ハデスの観測と定義の力は、対象への干渉には知識が必要であったが、
必ずも完全な理解までは必要としなかった。
125:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:16:49.91 ID:XVB8s0iW0
この事態もまた、予測できた者は一人もいなかった。
いるはずもない、魔神や賢者・魔女に到底及ばなかった存在が、
どうして侵犯者の如く『OMNE』を手中にできるのか。
それは不可能なはずだった。
126:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:17:17.98 ID:XVB8s0iW0
竜王が宿したOMNEの力は、
その性質から『混淆』と呼ばれた。
これはエーシル達オリジナルのOMNEとも、
侵犯者の複製品たるOMNEともいささか趣が異なっていた。
127:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:17:44.23 ID:XVB8s0iW0
『混淆』とは、対賢者・対魔女に特化したかの如き性質、
彼らの弱点を的確に突いてきた。
そのうえ竜王が蓄えた力と知識も併せれば、
賢者・魔女にとって相性は最悪、極めて戦いにくい相手だった。
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