121:名無しNIPPER[sage saga]
2022/03/22(火) 01:14:54.11 ID:XVB8s0iW0
だが、そんな彼も豹変してしまう。
善良なる神は突如、
享楽かつ悪辣な神へと変じたのである。
そしてあらゆる秩序を誑かし、狂わせることを楽しみはじめた。
その対象は見境なく、人間の領域にまで干渉し、
現世のあらゆる物理法則を歪めて破壊と混乱を撒きちらした。
さらに人間界の心臓たる役割、その力を悪用し、
地上のあらゆる生命のほか、同族たる混沌神族たちの魂をも
取り込み始めた、つまり喰らった。
それも「喰らえるから喰らう」という、正当性なき理由によって。
こうして生と死を司っていた人間界の心臓は、
人間界を脅かす「胃袋」に成り果てることとなった。
そしてその暴食は、ある重要な神をも喰らったことで
ついに人間界を決定的に狂わせた。
その神は「冥府の観測者」、
後世ではハデスとの名でも呼ばれている存在である。
彼は「世界の目」が与えられた人間と同様の、
常世における観測と定義を司る神であった。
「魂の苗床」を含む常世の全てを監視し、
あらゆる現象の操作と安定を担っており、竜王と並ぶ重要な存在だった。
そしてこのハデスが竜王に喰らわれてしまったことで、
事態は最悪の段階に達した。
竜王とハデスの力の組み合わせ、
それは禁忌と言えるほどのものだった。
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