高森藍子「加蓮ちゃんたちと」北条加蓮「生まれたてのカフェで」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:53:36.85 ID:mOMWMpAw0
好奇心が何度も爆発した結果、助け舟を出したのは藍子だった。
「実は、次のページにも用意しているんです。ほらっ」
そこには「♪藍子のオススメ♪」と、クレヨンで書いたような文字が。下には2枚の写真が貼ってあって、片方は2ページ目にもあった"みにホットケーキ"に、たっぷりとシロップをかけたもの。もう1枚は、やはりまるまった文字で「?」と書いてある。
以下略
AAS
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:54:06.89 ID:mOMWMpAw0
話を逸らせればなんでもよかった。でも脇道の選び方を間違えたかもしれない、そう思ったのは、そーちゃんが例の肘曲げポーズで手を上げて、その手の行き先を失った時だった。
「わたしのおはなし……」
看護師さんも、僅かに険しい顔になる。……病院の患者ならともかく、入院患者は自分の言葉をたくさんは持っていない。
以下略
AAS
24
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:54:36.91 ID:mOMWMpAw0
「うーん……。でもね……」
「……どうしたの? そーちゃん」
「おいしゃさん、ときどき家にかえってもいいって言うんだけど……。かえっても、たのしくないの。びょういんの方が、たのしい!」
一時帰宅の許可。確かクリスマス会で話した時にも、少し家に帰れるようになってて、おばあちゃんと話したとか言ってたっけ。
以下略
AAS
25
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:55:07.24 ID:mOMWMpAw0
実際のところ、実体験と記憶を全て取っ払って考えると、そーちゃんの考えも分からなくはない。
「加蓮ちゃんが最近、よくバラエティ番組に出るものだから。そーちゃん、真似し始めちゃうのよ。お陰ですっかり、手の焼く子になっちゃってねぇ」
「いやそんなこと言われても……。私だって色々やってみたいしっ。いいじゃん、患者さんの本音が聞きたいとか言ってたの看護師さんだし」
「だし!」「……しっ」
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AAS
26
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:55:37.74 ID:mOMWMpAw0
答えのゴールラインをずらしている間に、藍子がちっちゃなホットケーキと、クリスマスのショートケーキをさらにミニチュアにしたような物を運んできてくれる。
ほっこりとする湯気と、真っ白の隙間から柔らかそうなスポンジの見える三角形。
そーちゃんが、笑い声に引っ張られて「ほーっ!」と変な声を出しちゃった。それで藍子が笑って、ずっと首を傾げていたしろちゃんも、ほんのちょっぴり口元を緩めて。
以下略
AAS
27
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名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:56:06.81 ID:mOMWMpAw0
□ ■ □ ■ □
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AAS
28
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:56:43.89 ID:mOMWMpAw0
しばらくして――そーちゃんが満足げに「ごちそうさまでした!」と言い放った頃には、しろちゃんは目線の答えを見つけたみたい。
藍子のことを見つめ続ける。
藍子もまた、しろちゃんを見守ってあげて……やんわりと、頬を緩めた。
ファンを見ているアイドルの顔。
以下略
AAS
29
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:57:36.70 ID:mOMWMpAw0
「……病院、どう?」
「どう、って?」
「それは……。……アンタも、元気にしてた?」
看護師さんはとても嬉しそうに笑う。ぼんやりと泳ぐ視線が、素っ気ない装いのモミの木へと止まる。
以下略
AAS
30
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:58:07.10 ID:mOMWMpAw0
「はいっ!」
そして、またまたそーちゃんが唐突に手を上げる。もちろん肘を曲げて……曲げすぎていて、ほんの少しだけ"ぶりっこ"のポーズみたいになっちゃってた。
それでも可愛いのがちょっぴり面白い。さすが、将来私になってくれるって言うだけのことはある。
以下略
AAS
31
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:58:37.11 ID:mOMWMpAw0
ひとつ笑った藍子に、しろちゃんが笑い声を重ねる。
それを聞いて、藍子がまた笑う。
しろちゃんも、飴玉を舐めているような頬で笑う。
「よかった……。さてとっ」
以下略
AAS
32
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2020/12/25(金) 20:59:06.98 ID:mOMWMpAw0
藍子は立ち上がり、勝手口の方へ。入り口と同じ、甘みがかかった茶色のドアを開けてから手だけを外に出して。
うんしょ……
軽いかけ声と共に持ち上げたのは……ものすごく大きな袋?
以下略
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