アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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18: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:06:40.75 ID:z3oD1mZbo
「何をしている」

や、うそ。やべぇ。誰かいた。
突然敷地内の方から、短めの声がした。

以下略 AAS



19: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:07:50.13 ID:z3oD1mZbo
オレの脳が理解を拒む。知ってる人だけど、全然こんなの知らない。気張れオレ。夜でも昼みたいに目ぇ開けて、その正門の向こうっ側をちゃんと見てろ。
それでもこの状況には全然理解が追いつかなくて、世界は死んだように凍りつく。張り詰めた緊張感と、何だかどんよりした厭な臭いの張り付いた空気が揺れる。

「なんだよ……なんなんだよ、アンタ何なんだよ」

以下略 AAS



20: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:08:37.08 ID:z3oD1mZbo
「UMAはいんのよ」

「いや、オレUMAはいねぇと思うよ」

そんなこんなで、さらに数日経過して四月の中旬。そう、UMAがいるとか、デケェ蟻見たとか、そんな話をした日まで話がやっと戻ってくる。
以下略 AAS



21: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:09:36.37 ID:z3oD1mZbo
だけどなんで今、と質問しようとしたところ、その答えはこちらからわざわざ聞くまでもなく返ってくる。

「一ヶ月前位かな。晩酌しようと思ったら酒が無いのに気付いたから、夜だけどコンビニ行ってくるわって嫁に言って、家出たのよ。したら、その行きの道で、見たんだよ」

「白いガキすか」
以下略 AAS



22: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:10:15.54 ID:z3oD1mZbo
「だろ?そうなるよな?俺もそうなったの。なんでネズミ?って」

「まあ、はいそうですね」

「もう視線が忙しくなっちゃって。ネズミ見て、子供見て、でもっかいネズミ見て」
以下略 AAS



23: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:11:36.47 ID:z3oD1mZbo
その質問に平子さんはちょっとだけ迷って、声を潜め「信じてくれるか?」とだけ聞いてきた。
……いや……そりゃさ……アンタを信じてないことの方が多いし、そりゃさっきの話だってにわかには信じ難い事だけれど、顔がガチでやべぇ事んなってたから思わず頷くしかないわな。
近寄れ、と手招きされる。三密は……と思ったけど、そっと近付く。さらに声を静かにして、オレらふたり室内で密談。意味はあんのかねえのか、よく知んないしやる必要ねえんかもしれんけど。
ひっそり声が、地面を馴らす重機みたいに重低音でオレの鼓膜を揺さぶって、尋ねてくるんだ。

以下略 AAS



24: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:12:43.11 ID:z3oD1mZbo
「それとも───」

そしてこんなタイミングで、思い出す。
ああ、あの時の、二年前の、悪ふざけが過ぎたイカレトークを思い出す。
足はえー子供を作り出す計画、そしてその大元の計画。
以下略 AAS



25: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:13:50.82 ID:z3oD1mZbo
え?じゃあ……政府に隠れてた作戦が実行されて、それに気付いてんのがオレらだけってこと?
でもそれさ、だいたい、オレらだけ気付いたところでどうすりゃいいか分かんなくない?

世界は救えないよ、ラジオじゃ。
なにも出来ねえよ、オレらじゃ。
以下略 AAS



26: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:14:59.19 ID:z3oD1mZbo
「じゃま、お疲れ様でした。先帰りますわ」

「お疲れさん」

長い廊下を歩いていた。帰り道、不思議とスタッフもキャストも誰もいない。しんと静まっていて、だけど照明は付いてるから妙に明るくって。
以下略 AAS



27: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:15:43.84 ID:z3oD1mZbo
「そう、私達は流れ星。或いは、渡り鳥。新たな故郷を探し、彷徨う移民」

「お前……」

「そしてこれからは、ここが新たな故郷となる。地球、そして、偶然で見つけた街、東京」
以下略 AAS



28: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:17:44.43 ID:z3oD1mZbo
「!?」

女の子の顔が、驚愕に歪む。
突如、全身の細胞が弛緩し、やっと自由を取り戻す。大きく息を吸って、吐いて、オレはやっとのことで硬直から解き放たれた。
ネズミは二匹になり、その内の一匹が体をもたげて変化している、だなんてオレは見てないから知らないんだけど。
以下略 AAS



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