アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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19: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:07:50.13 ID:z3oD1mZbo
オレの脳が理解を拒む。知ってる人だけど、全然こんなの知らない。気張れオレ。夜でも昼みたいに目ぇ開けて、その正門の向こうっ側をちゃんと見てろ。
それでもこの状況には全然理解が追いつかなくて、世界は死んだように凍りつく。張り詰めた緊張感と、何だかどんよりした厭な臭いの張り付いた空気が揺れる。

「なんだよ……なんなんだよ、アンタ何なんだよ」

解凍されるのに数十秒かかった。乾いた喉から、呻きにも似た声が出る。

「立ち去れ。今なら危害は加えない」

「え……」

「もし俺の計画を邪魔するつもりなら、容赦はしない」

そいつが、そう言うから。脅して来たから。あまりの気迫に圧され───そうして、オレは一目散に逃げ出した。
正門から中を見たかった。あのキラキラが何だったのか、猫をオーバーキル出来るような好奇心は疼いていたけれど、それ以上に不気味で恐ろしくて、足が前ではなく後ろへと向いていた。気持ちで負けてた。
振り返らない、つか振り返れねーよ。そんな余裕もねーし。後ろから追いかけてくるなよと願う。足の遅いオレなら、食べられてしまいそうだ。

計画。……ん?計画?

いつか聞いたような言葉だ。進行している、何かの計画。誰が、何のために、いつから、どうやって?どうして?
で、なんでその計画に平子さん?なんなん?これ何?オレは夢でも見させられてる?壮大なドッキリ?オレに?ドッキリ?バカじゃん?
走りながら脳内に浮かぶハテナが煩くて、暫く走って建物が見えなくなるくらいまで走って、走って……体が重い!自粛生活で飯捗りまくったから多分太ったなこれ!

結構走って、全身びっしょりになるほど汗かきながら、オレは膝に手を着いてやや前傾姿勢でぜーはー苦しそうな息を繰り返した。
あー、若くねえな、もう。……あ、そうだ、この息苦しさの原因のひとつは、多分マスクだ。取ろうかな、と葛藤して、結局取らなかった。
時期的に冷たすぎる夜の風が頬を撫でる。アレはなんだったんだ、と考えていた。それでもごちゃごちゃになり過ぎた頭が整理されることはなかった。

いや、きっと忘れた方がいいんだ。

明日からは普通の日常……っても行かねえけどさ、きっとさっきのは夢、幻の類で、オレの見間違いなんでしょ。ああ、多分そうだ。

だから、忘れた方が、きっと。

そうだ。


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