アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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20: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:08:37.08 ID:z3oD1mZbo
「UMAはいんのよ」

「いや、オレUMAはいねぇと思うよ」

そんなこんなで、さらに数日経過して四月の中旬。そう、UMAがいるとか、デケェ蟻見たとか、そんな話をした日まで話がやっと戻ってくる。
外に出たとか、変なもんみたとか、そんなのやっぱり言えるわけねえから、茶を濁しておく。
くっそくだらねぇ話をして、これがオンエアに乗るのはいつだろうかとかぼんやりと考えながら、全部終わらせて楽屋に戻る。
……つっても感染対策とか言って、今じゃどこの扉も開けっ放しだ。プライバシーが守られないけど、換気は守られているのでそちら優先ってことなんだろう。当然楽屋も扉は開けっ放し。
そりゃさあ、スマホとか鍵とか財布とか、大事なもんは携帯してっからいいんだろうけど。セキュリティ問題どうなってんの?とか言いつつ。

「酒井」

「なんすか」

部屋に着いた途端に呼ばれる。その声色は、どこか怯えを含んでいるような気がした。……怯え?視線はどこか、オレじゃねえ方向向いて、なんかバツが悪そうって言うか、言いづらそうな感じだ。
呼ばれて数瞬、言葉が互いに途切れ、それから音は再開された。

「今まで言えなかったけど、実はさ、俺も見てたんだよ」

唐突な切り出しだった。なん、え?何が?と一瞬狼狽えたが、すぐに続いた単語で全てを察する。

「……あの……前言ってた、白い服の、子供」

「は?」

空気が凍る。一瞬で世界が静寂に包まれる。そこで意を決したように、やっと視線がオレを向いた。真っ直ぐ見合う。

「蟻の話もほんとだけど、」

それは絶対嘘だけどな。

「……見たんだ。白い子供。お前がさ、言ってた白いガキ」

「本気ですか?」

「こんな怖ェこと冗談で言うわけねえじゃん」

「そうですけど……」


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