アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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28: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:17:44.43 ID:z3oD1mZbo
「!?」

女の子の顔が、驚愕に歪む。
突如、全身の細胞が弛緩し、やっと自由を取り戻す。大きく息を吸って、吐いて、オレはやっとのことで硬直から解き放たれた。
ネズミは二匹になり、その内の一匹が体をもたげて変化している、だなんてオレは見てないから知らないんだけど。

「ああ、そうだ。俺はな、この星で二年待ったんだ。お前達がここに来るのを」

背後を見る。
聞き覚えのある声がする。
ああ、アンタは、けれど違う人。

「見事に引っかかってくれた。この時間が無駄なものでは無かったようで、何よりだ」

そいつが背後のネズミを踏み潰しながら、俺の隣をすり抜けて、女の子の方へと向かっていった。


───そう、二年。二年前。
オレがある日、防衛省の近くで見たUFOは、この背後から来た人物が乗っているものだった。


地球で言うところのネズミに似たその生命体が居たのは資源豊かな惑星ではあったものの、彼らが生きている内にそれが緩やかに尽きていき、やがては死にゆく星であったという。
だから、住んでるヤツらはあれやこれやと頭を使った結果、じゃあ死にたくねえから、他のとこ住んだらいくね?って結論に至ったらしい。
それでこいつらの仲間はいろんなとこに行った。どこか分からねえとこに行きまくった。
ありとあらゆる世界、惑星、そのあちらこちらに行って、その度にそこに暮らせるか否かを検討した。
飛行機だったらマイルとか多分鬼えげちぃ位溜まってると思う。マイルだけで海外旅行出来るんじゃないかな。
こいつらの良いとこは、食ったもんに変身することが出来るって事だった。だからどんな環境でも適応出来っし、すぐ星を引越ししちまえってのも出来るってことだ。
あれ……なんかそんなん昔漫画で、あれだ。火の鳥で見たな、あ、でもアレは脳波に合わせて変身住んだっけ?
当然だけど、そんな動きを良しとしないヤツも中には居た。

『星が死ぬなら、それは星を利用した者の業である。死なないようにする努力もしないなら、共に死ぬべきだ』

そう言って、そいつは星のヤツらがやろうとしてる事を、否定した。まあ、人間だってそんなもんだし、そいつらも意見の相違ってのがあったんでしょ。まあ、分かるわ。
ある時、そんなヤツらのターゲットがこの星、地球になったらしい。けど、そいつらの星と地球は遠いんで、移動にはそれなりに時間がかかる。というわけで調査隊的なやつが先に降り、それから本隊を呼び寄せる的な、なんかめちゃくちゃ頭使った作戦を思いついた。
けど、反対派のこいつ的にはそれはちょっと困る。つー訳で、その調査隊が出発する直前、女の子(の姿をしている宇宙人?UMA?なんて呼ぶのが正解なんだよこいつ)の隊のひとりを殺して、それに変装してこいつが来たんだと。
この前見たキラキラはつまり、調査隊が呼び寄せた本隊だった。そしてあの時敷地で会ったのは、あのビルに本隊の連中が集まってて、それをこいつが全部捕まえて、首からずばーーっとヤってる最中だった、って訳よ。

……や、やっぱ何回聞いてもこれ、余りにもスケールデカすぎる話しすぎてドン引きすんだけど、まぁそれが事実なんだよなって言われたんならしゃあねぇか。


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