アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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22: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:10:15.54 ID:z3oD1mZbo
「だろ?そうなるよな?俺もそうなったの。なんでネズミ?って」

「まあ、はいそうですね」

「もう視線が忙しくなっちゃって。ネズミ見て、子供見て、でもっかいネズミ見て」

「なんなのそのネズミは」

「わっかんないんだよ」

そこで不意に言葉が途切れ、真っ黒な目がオレを捉えた。あのシンクホールみたいな、何を写しているか分からない、真っ黒い目が、こちらを見ている。
ぞっ、とした。なんだよ、この目。
ぽっかり空いた穴、奥に何があるのか分からなくて背筋が思いがけずぴんと伸びる。寒気とは違う、生理的に嫌な感じが漂った。
その先に続いているのは、見えない、どこまでも深い深淵───

「子供の、笑い声がして、さ」

「うん」

黒の中から言葉は生まれている。

「ネズミに向けてた下の方の視線から、くいって子供の方に視線向けんじゃん。……そしたら、もう居なくなってた」

「……ええ」

「なんか足いてぇな、って思ったら、いつだろうな?左の、くるぶし辺り。いつの間にか怪我してて。でも、いつ怪我したんだか分かんなくて」

ぽつりと。

「俺怖くなって、なんも買わないで帰ってきちゃった」

なんだよそれ。

どうやら、それがオチらしい。普段こういう話をするなら半笑いなのに、今回ばかりは笑顔がなかった。つうか、なんの進展もなくないすかそれ?思わず苦笑いするしかない。

一拍、置く。

「で、なんでそれ今言ったの」

んで、この話全部聞いて改めて思った。そんな話、わざわざ、今オレにする理由はなんだろ?考えても分かんねえし、聞くっきゃねえかと思ってストレートに質問した。


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