アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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26: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:14:59.19 ID:z3oD1mZbo
「じゃま、お疲れ様でした。先帰りますわ」

「お疲れさん」

長い廊下を歩いていた。帰り道、不思議とスタッフもキャストも誰もいない。しんと静まっていて、だけど照明は付いてるから妙に明るくって。

無駄に長くて先が見える道って、変に怖くない?昼間だけどさ、まあ言うてビルだし、眩しくなんねえようにシェード?みたいなの掛かってるじゃん。
だから室内のランプってずっと付いてるし、お陰で遠くの方まで見えちゃうんだよな。

こえーな、と思いながら地元のツレからのLINEとか確認してぱっと顔上げたら、


いた。


いつもの白い子供だ。
この距離でやっと分かった。白い女の子だった。オメェ女だったのかよ。
女子供には圧力掛けやすいよね。クソみてーな発言だけど。

そいつは、真っ直ぐにオレを見ている。
なんなんだよ一体。

「貴方は知りすぎた」

「……は?何が」

妙に声が震える。
え、え?なんで震えてんの?
オレ、ビビってんの?
……や、怖くはない。違う、なんだろ、精神がとかそんなレベルじゃない。
細胞単位で、こいつと対峙するのを体が拒んでいた。全ての肉体のあらゆる要素が、今すぐここからの離脱を求めてぶるっぶる震え上がってしまっていた。
なぜとか、どうしてとか、疑問を覚えるような、そんなレベルとはダンチ。最悪だ。真っ直ぐそっちを見ることすら、眼球が否定してつい視線がどこかに逸れてしまいそうになる。気をしっかり持たなければと思えば思うほど、全身の震えが酷くなってしまいそうだった。

「やっと、安息を得られると思ったのに」

後ろからぱきっ、と変な音がした。
背後を絶たれたんだろう、と察知する。生理的恐怖で上手く動かねえ体が軋む、突然全部の関節が錆び付いたかのように唐突に動かなくなる。逃げたいのにもはや逃げられない。
それでもなんとか首を回して後ろを見ると、どこからか湧いてでた白いネズミがそこにいる。それがちょろちょろと、少しづつオレの足元の方へと近付いてくる。
オレを食う気なんだろうか。なんとなく脳にそんなことを思いついた。今度はくるぶしからの出血では済まなさそうだ。空気がピリついてきた。


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