30:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:50:30.70 ID:XnGtX3Tv0
結果としてシューコは紗枝の背を押してやれたことになる。
ただ紗枝だけを想って、ただ紗枝だけを見て。
31:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:53:09.97 ID:XnGtX3Tv0
◆
32:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:54:38.03 ID:XnGtX3Tv0
「ねぇシューコはん……」
「ん、どーしたん紗枝ちゃん?」
33:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:55:54.79 ID:XnGtX3Tv0
「せや……そう言えばうち、ずっと訊きたかったんやけど」
「どしたん?」
34:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:58:03.81 ID:XnGtX3Tv0
「そんなら、うちが名前つけたげる!」
そう言うと紗枝は木の枝を一つ拾い上げ、帯の隙間に挟んであった葉を取り出す。
シューコと初めて会ったあの日に受け取った葉、紗枝の名が書かれた葉、タラヨウの葉だ。
35:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:59:27.07 ID:XnGtX3Tv0
『醜狐』
36:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:00:15.23 ID:XnGtX3Tv0
「ほら、書けた!」
玉露のように瞳を輝かせ差し出すそれに
37:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:03:03.51 ID:XnGtX3Tv0
◆
田が黄金に色づく頃、暑さも和らぎ風も涼しさを取り戻した。
38:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:06:43.15 ID:XnGtX3Tv0
目指すは紗枝が今住み込んでいる御所……ではなく紗枝の実家だ。
まずは情報収集だ。
良くも悪くも御所は御所、それなりの警備をしている。
39:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:09:09.75 ID:XnGtX3Tv0
「誰や!?」
「!」
40:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 20:12:57.20 ID:XnGtX3Tv0
晴天の如き平穏を保つはずの御所に霹靂が突き刺さった。
天からではなく地を疾るそれは外壁をぶち抜き点在する屯所を弾き飛ばし回廊を庭ごと抉り取る。
ただ紗枝の元へ一刻も早くたどり着く。
それ以外の事を埒外としながらも紗枝の宿命を押し付けた者共への怒りが溢れ出す。
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