周子「だから、あたしが逢いに往く」
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35:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:59:27.07 ID:XnGtX3Tv0

『醜狐』



 揺らめく妖気の炎が逆立つ体毛に見えたから
 地を突き刺し穢していく強靭なる棘が偶然にも四本だったから
 それらを見て広めた者達が口々に荒ぶる妖狐のようだったと言ったから

 当時の人間達によってこう名付けられ定義されてしまったシューコは曲がりなりにも一個体として認識され、そのせいもあり自我を獲得しうる存在となった。
 しかし同時に、この世に厄災を振りまく妖狐として存在が固定されてしまった。

 魂が定まり、精神が生まれ、自我を得た果てに思考するに至った。
 それでもその存在故に人間とは相容れない。
 姿形も今は妖力で無理矢理に誤魔化しているに過ぎない。
 本来の姿が偶然にも狐の形に酷似していただけの復讐装置
 神代との決別へと歩んだ人間への罰として産み落とされた怨嗟の塊。
 神々への信仰を捨て術のみを得ようとした人間達への神々の怒りであった。

 シューコに名付けた当時の人間達は今やもういない。
 しかし付けられた名は変えられない。
 己で人を相手に勝手に名乗ることはできるかもしれないが、それで己の本質は変えられない。
 紗枝に出会った当初のシューコが自身の名の読み方という音だけしか教えなかったのもそんな自分の名が嫌いだったからだ。


 それは抵抗であると同時に半ば諦観じみたもでもあった。
 そのはずだった。




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