周子「だから、あたしが逢いに往く」
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34:名無しNIPPER
2020/05/05(火) 19:58:03.81 ID:XnGtX3Tv0

「そんなら、うちが名前つけたげる!」

 そう言うと紗枝は木の枝を一つ拾い上げ、帯の隙間に挟んであった葉を取り出す。
 シューコと初めて会ったあの日に受け取った葉、紗枝の名が書かれた葉、タラヨウの葉だ。
 紗枝はその場にしゃがみ込むと、自分の膝を下敷きにして葉に何やら書き始めた。

 シューコとしても意外な反応だった。突然自分に何を言い出すのかと思えば、名前を付ける……?

 確かにシューコの名はかつての人間達に勝手に付けられたものだった。
 神々の怨嗟の集合体が生物の形を模しただけに過ぎなかった存在が、その人間たちの名付けによって自我を得るきっかけを得た。
 しかし同時にその際付けられてしまった名によって魂の在り方・存在の根源が位置付けられてしまったのだ。

 最初に神々がきちんと名付けてやったならきっと幾分か違ったのだろう。
 この世に産み落とされた目的が違ったなら人間達からの認識も違ったことだろう。しかし、非常にも現実はそうはならなかった。

 神性の強い存在、元々が不定形の存在はこうした“概念の付与”には敏感である。
 人間よりも強い力を持ちながら、その性質や形は人間からの信仰や認識に強く影響を受ける。
 神代に由来する者達はそういった存在なのである。
 高い力を持つ御仏であってもそれは人間達の信仰があってこそなのだ。

 概念として誕生し、それを人間達が有難がり尊重して初めて崇拝の対象となる。
 逆に悪しきものとして認識されれば邪神や妖怪が出来上がる。
 元が人型に似ていても、装置や道具として認識されれば意志を持たぬ現象の一種となる。
 何らかの生物に近いと見なされれば元がどんなに無機物のようだとしても意志と自我を持つ存在となりうる。

 その理は当時のシューコとて例外ではなかった。



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