上杉風太郎「一花、お前はかわいいよ」中野一花「ッ……!」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:14:10.34 ID:elO9kpWFO
モノローグ

幼い頃、寝る前に母が物語を読んでくれた。
あまりよく覚えていないけれど、淡々と朗読する母の声を聴きながら、私たちはすぐ眠った。

今となっては物語なんてほとんど読むことはなくなった私でも、有名なシンデレラと白雪姫くらいなら、そのあらすじ程度は記憶している。

たしか、意地悪な姉達に虐められたシンデレラが魔女に魔法をかけられかぼちゃの馬車に乗ってお城の舞踏会で王子様とダンスを踊り、油断した隙に魔女に毒リンゴを食べさせられて眠ってしまい、王子様のキスで目覚めるんだっけ?

はて、ガラスの靴はどこにいったのか。

とにかくそんな曖昧な記憶ではあるものの、一点だけ両作品に共通するテーマはとても印象に残っており、それが『嫉妬』であると知った。

嫉妬とは厄介なもので酷く忌まわしい感情だ。

特定の存在に対する所有欲、独占欲、支配欲。
そんな執着心を封じ込めようと思えば思うほどに、胸は締めつけられるように痛み、嫌な自分と向き合うこととなり、逃げられないと悟る。

私はシンデレラではなく白雪姫でもなかった。
五つ子の長女の私は、意地悪な姉で、魔女だ。
そんな自分が許せなくて、毒リンゴを食べた。

私は眠り続ける。王子様のキスを夢見ながら。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:16:53.58 ID:elO9kpWFO
「一花」
「んぅっ……」
「一花、起きろ」

散らかり放題の自室で私は眠っていた。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:18:49.45 ID:elO9kpWFO
「勉強って、こんな朝っぱらからフータローくんはお姉さんに何を教えて欲しいのかな?」
「教えるのは俺だ」
「わお! いつになく大胆ね!」
「ふざけるのはやめろ」

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:21:29.81 ID:elO9kpWFO
「起きろ、一花。起きて、勉強をしてくれ」
「条件があります」
「じょ、条件、だと……?」

目の前で二度寝されて困り果てた家庭教師に、生徒の私は図々しくも条件を突きつけた。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:24:12.19 ID:elO9kpWFO
「まずは、ウォーミングアップをしましょう」
「ウォーミングアップ?」

この場合はウェイキングアップのほうが正しいのかも知れないけど馬鹿な私にはわからない。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:26:05.66 ID:elO9kpWFO
「あはは。フータローくん、顔真っかだよ」
「お、お前な……物事には限度ってもんが」
「もしよかったら、ちょっと触ってみる?」

揶揄い半分で彼の手を胸元に誘おうとすると。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:27:37.14 ID:elO9kpWFO
「ねえ、フータローくん」
「話しかけるな。今、素数を数えてる」
「何かお話を聞かせて」
「71、73、79……なんだよ、お話って」
「なんでもいいから、話して」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:30:10.90 ID:elO9kpWFO
あるところに、5匹に子豚が居ました。
5匹の子豚は一軒の家に身を寄せて、時には喧嘩をしつつも仲睦まじく暮らしていました。

そんなある日のこと。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:33:37.60 ID:elO9kpWFO
「続きって、さっきのお話しの?」
「ああ、そうだ。実は続きがある」
「ふん。聞くだけ、聞いてあげる」

言外に次はないと告げると彼は生唾を飲んで。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:35:27.24 ID:elO9kpWFO
「な、なにも泣くことはないだろう!」
「だ、だって、だって……ふぇええん」

堰を切ったように泣きじゃくる私をみて、またもや狼狽した彼は、ややあって、おずおずと。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:37:04.11 ID:elO9kpWFO
「ねえ……フータローくん」
「なんだ?」
「君は私に甘えられたら、迷惑、かな……?」

尋ねながら、自分の正気を疑う。なんだそれ。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:39:08.35 ID:elO9kpWFO
「い、一花、流石にくっつきすぎだろ」
「兄妹なんだから平気よ」
「そんなわけあるか!」
「私をらいはちゃんだと思って接して」
「んなこと言われても……」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:40:54.69 ID:elO9kpWFO
「まあ、明確な定義なんかないだろうけどさ」
「フータローくんはどう思うの?」
「たぶんそれは、放っておけないってことだ」
「はい?」

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:43:26.99 ID:elO9kpWFO
「さて、そろそろ兄妹ごっこ遊びは終わりだ」
「え〜もうちょっと付き合ってよ」

駄々を捏ねると、彼は不敵に嗤い、指摘する。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:45:58.43 ID:elO9kpWFO
「こ、これでどうするつもりだ……?」
「あら、察しが悪いわね。用を足すのよ」
「このペットボトルに?」
「そう。ふっ……我ながら天才的な閃きだわ」
「いいやお前は馬鹿だ! 頭が悪すぎる!!」
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:48:15.45 ID:elO9kpWFO
「ごめんね、フータローくん」
「なんだよ、急に潮らしくなって」
「こんな馬鹿で情けない生徒でごめんなさい」

留まってくれた家庭教師に自らの醜態を謝罪すると、彼はくしゃくしゃと私の短い髪を撫で。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:50:12.56 ID:elO9kpWFO
>>16の「潮らしく」は「しおらしく」の誤りです
確認不足で申し訳ありませんでした
それでは以下、続きです


18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:51:06.77 ID:elO9kpWFO
「ね、可愛いって、もっかい言って?」
「嫌だね。あれは言葉の綾だ」
「可愛いって言って、頭を撫でて」
「なんで俺がそんなことを……」
「お兄ちゃんだから」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:52:26.77 ID:elO9kpWFO
「ふうん? 珍しく素直じゃねーか」
「お、おかしい?」
「別に。ただ少し意外だと思っただけだ」
「誰だって……きっと嬉しいよ」

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:53:02.93 ID:elO9kpWFO
「フータローくん」
「なんだよ」
「君は私の何を知ってるの?」

彼が私についてどこまで知っているのか気になり、尋ねると、彼は再び鈍感な男の子となり。
以下略 AAS



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