上杉風太郎「一花、お前はかわいいよ」中野一花「ッ……!」
1- 20
10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/03/03(火) 23:35:27.24 ID:elO9kpWFO
「な、なにも泣くことはないだろう!」
「だ、だって、だって……ふぇええん」

堰を切ったように泣きじゃくる私をみて、またもや狼狽した彼は、ややあって、おずおずと。

「泣くな……一花」

ぽんぽんと、ぶっきら棒に頭を撫でてくれた。

「妹のらいはの為なら、俺も同じことをする」
「そんな……駄目だよ。自分を大切にしないと」
「ああ……そうだな。でも、仕方ないよな」
「うん……仕方ないね。それが役割だから」

それはあまりにも不器用な慰め方で、余計に泣けてきてしまう。自分の愚かさが身に染みた。

「少しは落ち着いたか?」
「うん……こんなに泣いたの、久しぶり」

私は普段、あまり泣かない。
私が泣けば、妹たちが不安がるから。
だから怖くても悲しくても我慢してきた。
なのに、どうも彼の前だと調子が狂う。

「駄目だね、私……お姉ちゃん失格だよね」

そう自嘲して涙を拭うと、彼は鼻を掻きつつ。

「……いいんじゃないか、たまには」
「えっ?」
「たまにはこうして……誰かに甘えてもさ」

言われて気づく。私は誰かに甘えたいのだと。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
29Res/26.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice