白雪千夜「私の魔法使い」
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26: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:57:00.32 ID:ldlfMP+C0
7/27


 ちとせがレッスンで不在の中、ソファに座り主人の帰りを待つ千夜はただの一言も発さなかった。
 これまでも用が無ければ特別言葉を交わすこともなかったとはいえ、顔を合わせても挨拶すらなく、ひたすら黙ってちとせを待っている。
以下略 AAS



27:7/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:58:03.24 ID:ldlfMP+C0
「……お前は、ずるい」

 振り絞るようにそれだけ言うと、千夜はそのまま押し黙る。言葉が上手くまとまらないのか、口を開いては俯きながら手で覆って出掛かった声を飲み込む、そんなことを繰り返していた。

 様子のおかしい原因は見当もつかない。ただ今は、千夜を苛ませている何かを知るのが先決だとプロデューサーは感じ取る。
以下略 AAS



28:7/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 19:59:12.72 ID:ldlfMP+C0
「だけどお前は、そうじゃない。たとえ何かを見失って逃げ出したとしても、ずっと待ってくれている人がいる」

「だから……ずるい?」

「……私にもよくわかりません。ただ、お前の夢に見せられた人たちにとっても、今のままでいいはずはないでしょう」
以下略 AAS



29: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:00:01.07 ID:ldlfMP+C0
8/27



 2人がユニットデビューを果たす日も差し迫り、合同レッスンを中心にスケジューリングしてある。最後にそれぞれ受けさせていたオーディションの合否はまだ発表されておらず、それを確認出来たら残った空白を確定する次第だ。
以下略 AAS



30:8/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:01:35.83 ID:ldlfMP+C0
 ちとせの体力を考慮し、ダンスパートは千夜に比重を置き、その分の歌唱パートをちとせが受け持つ。それぞれの長所を活かした変更、といえば聞こえはいいが。
 反応を待つと、先に答えたのは千夜だった。

「お嬢さまのためになるなら、私は構いません」

以下略 AAS



31:8/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:02:39.80 ID:ldlfMP+C0

「――これを着ろと、いうのですか。……悪趣味な」

「えー、絶対可愛いよ千夜ちゃん♪ なんなら持って帰っちゃう?」

以下略 AAS



32: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:03:42.47 ID:ldlfMP+C0
9/27


 打ち合わせから戻ってくると、デスクには淹れてからまだ数分と経っていなそうなコーヒーが用意されていた。

以下略 AAS



33:9/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:04:49.68 ID:ldlfMP+C0
「それで、今日はどうしたんだ」

 回りくどいことをせずとも、話があるならいくらでも耳を傾ける所存である。千夜がそうしないのは、まだ千夜から信頼を得られていないことに他ならない。気軽に頼れる間柄とは認識されていないのだ。

 千夜もどこまで踏み込んだものか迷っているらしいが、ちとせにしか見せないような顔をおいそれとは拝ませてくれない。
以下略 AAS



34:9/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:05:51.92 ID:ldlfMP+C0
 ふと、人形繋がりでデスクの奥に眠らせたままになっていた、緑色の物体を思い出す。扱いに困り放置していたが、これもいい機会か。

 いそいそとデスクに向かい最下段の引き出しの奥へ手を突っ込む。ぐにっ、と柔らかい感触をした緑色のそれは事務所が推しているマスコットキャラクター、ぴにゃこら太のぬいぐるみである。
 いきなり席を立たれて何事かとこちらを窺っていた千夜は、未知との遭遇に微妙な顔をしながら、しかし目を奪われたといった様子だ。

以下略 AAS



35:9/27  ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2020/02/04(火) 20:06:52.95 ID:ldlfMP+C0
「アイドルに慣れきって、染まってしまった後……戯れに飽きて、辞めることになったら。そう考えている私の心の内、お前に分かりますか?」

「……」

 秤にかけて、ちとせより重きをおけるものは千夜には無い。
以下略 AAS



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