94:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 13:58:22.04 ID:GuuOmPrB0
巴マミはというと暁美ほむらと接点があること、キュゥべえのことを知っていたことに驚いたのか、それとも単純にアレイスターの存在に疑問を感じたのか、
「あなた一体......?」
いつかの夜にも投げ掛けた疑問をもう一度銀の少女へと投げ掛ける。
「私はただの『人間』だよ」
巴マミは銀の少女の鈴を転がすような可愛らしく甘い声だと思いつつもその裏には底知れぬ深淵を覗きこんでいる感覚に陥った。鹿目まどかも美樹さやかも銀の少女の気味の悪さからか声を出せずにいるようだった。
95:松坂英治[sage]
2020/02/16(日) 17:38:05.80 ID:GuuOmPrB0
数奇な出会いから数日後。
アレイスターはいつも通りネット喫茶に引きこもっていた。そしていつも通りカメラの映像記録を見直していた。昨日まではあのグリーフシードとやらの研究を行っていたのだが何分道具が足りず、大方目星はついたのだが完全に解析するには時間がかかると分かりやる気が失せてしまった。ほら、あるじゃないか。宿題とか家事とかあと少しで終わると分かると逆にやる気が失せてどうでもよくなってくるアレだよ、アレ。
そんなこんなで今日もカメラの映像記録を見ていた気力零のアレイスたんは、あるものを見つける。
(あれは......?この間の......)
そうあの数奇な出会いの日に黄色いメルヘン少女といたピンク髪と青髪である。誰かの見舞いなのかどうやら病院へ訪れているらしい。
96:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 17:49:41.25 ID:GuuOmPrB0
「グリーフシードだ!孵化しかかってる!」
病院の柱に突き刺さったグリーフシードをまどかが見つけ、それが魔女の卵“グリーフシード”だということを伝えるキュゥべえ。焦燥感のある声からグリーフシードかり魔女が孵化する直前であることがうかがえる。
「嘘!何でこんな所に......!!」
まどかの不安と焦燥感のある声が伝わる。
「まずいよ......早く逃げないと!!もうすぐ結界が出来上がる!!」
97:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 18:48:34.68 ID:GuuOmPrB0
既に日が傾き、辺りをオレンジ色に染めた頃、巴マミと鹿目まどかが魔女の結界のもとへとたどり着いた。
「......ここね」
魔女の結界へとソウルジェムの指輪を嵌めている左手をかざした。すると魔女の結界の入り口が異世界への扉のように虚空から出てきた。
「キュゥべえ、状況は?」
「まだ大丈夫。すぐに孵化する様子はないよ」
98:松坂英治[saga]
2020/02/16(日) 18:49:17.40 ID:GuuOmPrB0
「言った筈よね?二度と会いたくないって」
挑発とも取れる言葉に対してほむらは、
「今回の獲物はわたしが狩る。あなた達は手を引いて」
「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」
「その二人の安全は保証するわ」
99:松坂英治[saga]
2020/02/19(水) 00:28:59.76 ID:S6X6A1SI0
巴マミと鹿目まどかは使い魔達を物陰に隠れる等してやり過ごしていた。キュゥべえの忠告通りあまり大きな魔力を使わず、卵を刺激しないよう進んでいった。先へと進み扉を開け、毒々しい薬のビン?のようなものの中を進んでいく道中、まどかが話を切り出した。
「あの......マミさん?」
「なあに?」
マミはまどかの手を引きながらもしっかりと応える。
「願い事......わたしなりに色々考えてみたんですけど......」
100:松坂英治[saga]
2020/02/19(水) 00:42:10.22 ID:S6X6A1SI0
まどかの夢を聞いたマミ。彼女の夢を聞いてマミはどんな思いを抱いているのか。
「憧れる程のものじゃないわよ。わたし、無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても誰にも相談出来ないし、一人ぼっちで泣いてばかり......良いものじゃないわよ、魔法少女なんて」
「マミさんはもう一人ぼっちなんかじゃないです」
「っ、そうね、そうなんだよね......」
マミはまどかの方へ振り返り手を握る。マミの手は力強く、しかしまるで小さな迷子の子供のような弱々しさもあった。振り返ったマミの目尻には涙も浮かべてあった。
101:松坂英治[saga]
2020/02/19(水) 00:43:01.06 ID:S6X6A1SI0
「でもさあ、折角なんだし願い事は何か考えておきなさい」
「折角、ですかね?」
「やっぱり、契約は契約なんだから、ものはついでと思っておこうよ。億万長者とか素敵な彼氏とか。何だって良いじゃない!」
「いや、その、」
「じゃあこうしましょう?この魔女をやっつけるまでに願い事が決まらなかったら、その時は、キュゥべえにご馳走とケーキを頼みましょう?」
102:松坂英治[saga]
2020/02/19(水) 01:11:55.47 ID:S6X6A1SI0
扉を開け放ち、抜けた先は暗く、しかし今のマミにとってはこれからの希望の道となるように一瞬だけ明るく感じた。
「お待たせ」
「間に合った......」
美樹さやかはどうやらドーナツ型のオブジェに隠れていたらしく、無事なようだった。
「気をつけて!出てくるよ!!」
103:松坂英治[saga]
2020/02/19(水) 01:38:44.43 ID:S6X6A1SI0
時は少し遡り。
(クソ!!このままじゃ何の関係もないあの子らが魔女に殺される。あの黄色いメルヘン少女はどこ行っている?!)
早急にあの病院の場所を割り出し現場へと急行するアレイスター。とは言っても箒は使っていなかった。というより使えない。箒を使えばその分悪目立ちするし何よりも箒はネット喫茶では邪魔だという理由から別の場所に隠してあるのだ。それも結構遠くに置いてきた。普段は使わないだろうと思ってやったことが裏目に出た。今から取りに行っても遅くなるだけである。なので今は一分一秒でも早く着けるように全力ダッシュする他ないのである。ただそれもネット喫茶から病院までかなり遠いので間に合うかどうか。
ネット喫茶から出てきて大体一時間後、日も傾き始め、街をオレンジ色に染めている時、ようやっと病院に着いた。
病院の敷地内に入ろうとすると、魔女の結界の入り口にいる少女を見つけた。
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