41:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 22:26:13.42 ID:zPoxPRfb0
ザアアァァァ…
麻子「明日まで止みそうにないな。雨」ズルズル
42:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 22:29:04.52 ID:zPoxPRfb0
華「……意識してしまうきっかけが事故だったのは間違いありません。もちろんそれまでも、麻子さんはとても良い友人だと思っていましたけれど」
麻子「ん……私もそう思ってる」
華「ふふ、ありがとうございます」
43:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 22:39:05.97 ID:zPoxPRfb0
華「麻子さんを殿方として想像したわけではないのですが……わたくしは将来、必ずお婿さんをとらなければなりませんから」
麻子「あぁ……家元の娘で、一人っ子だものな」
華「沙織さんじゃありませんけれど、この歳になると結婚相手との生活を意識してしまいます。自分で見つけるにしても、お見合いをするにしても、どのような相手とこの先の将来を生きていくのか……」
44:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 22:43:58.42 ID:zPoxPRfb0
華「複雑な事情があったとはいえ、遠くの地からたった一人でやってきて学校の命運を背負わされたみほさんを……放っておけなかったんでしょう」
麻子「………………だったらなんなんだ」
華「そういうところが麻子さんの優しさなんです。一見すれば無愛想ですけど、家族から切り離された孤独な人を放っておけない……きっと麻子さん自身の経験がそうさせているんですよね」
45:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 22:47:07.80 ID:zPoxPRfb0
華「別によろしいじゃありませんか」
麻子「は?」
華「前にも申し上げた通り、あとからこの気持ちが消えてしまっても後悔は致しません。いずれなくなるなら何もしないというのであれば、華道を継ぐ身のわたくしが戦車道をしているのも不必要ということになります」
46:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 22:51:28.30 ID:zPoxPRfb0
華「つまり元よりわたくしとの関係に興味はなかったと……」
麻子「そ、そうじゃない! ただ華さんはこれから生徒会長になるわけだし、立場上色んなことを考えて動かないと問題があると思って……!」
華「………っくふ」
47:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 23:02:29.51 ID:zPoxPRfb0
-in 麻子布団-
ザァァァァァァ…
華「(――懐中電灯の灯りの中おうどんの食器を片付けて、わざわざ開封してくれた新しい歯ブラシで歯を磨いて。緊張しながら入ったひとつだけのお布団は、麻子さんの体が小さいせいかおさまり良く二人分の体を包んでくれました)」
48:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 23:08:14.09 ID:zPoxPRfb0
華「わたくしは……麻子さんと一緒に色んなことを味わいたいのです。隣で誰かが起きる気配だったり、自宅で食べる作りたてのご飯の温もりだったり、自分以外のシャンプーの香りだったり……日々の些末な感動だったり」
麻子「……それは、他の誰かと一緒じゃダメなのか? チームのみんなとか……」
華「みんなとそういう体験をするのも好きですよ? 大学選抜戦の前にみんなで合宿したのはとっても楽しかったですし……でもそれとは少し違うんです」
49:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 23:20:38.79 ID:zPoxPRfb0
麻子「……家族、か」
華「……」
麻子「今の私の家族は、おばあだけだ。でも……おばあもいずれ死ぬ」
50:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 23:29:30.37 ID:zPoxPRfb0
麻子「華さんのこと……好きだよ。そんなに私のことを想ってもらって嬉しくないわけがない。私だって華さんのこともっと知りたい」
華「ま、こさ……」
麻子「でも……だめなんだ……私が耐えられないんだ」
51:名無しNIPPER
2020/01/12(日) 23:41:22.12 ID:zPoxPRfb0
華「でも、わたくしが麻子さんと将来的に結婚できないのは女同士だからです」
麻子「お……おう」
華「それって、女同士が世間的に交際相手として認められないからですよね」
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