63: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:25:02.91 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさん、肇ちゃん! どこ行っていたんですか」
「いや、悪い悪い。せっかくの夏なんだし、これ買っとかなきゃと思ってね」
「花火だー!」
64: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 01:25:48.32 ID:nY0iWbpOO
「しかし寮の中にバーベキューセットがあったとはね」
「前に女子寮のみんなでバーベキューパーティーをやったんです。その時買ったんですよ」
海で遊び倒して空かしたお腹を満たすなら、やはりバーベキューだろう。肉を焦がす香ばしい匂いとジュージューと焼ける音はここにいる全員に等しく食欲を配っていく。
65: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:14:22.83 ID:nY0iWbpOO
「五十嵐家特製のバーベキューソースですっ! プロデューサーさんも使いませんか?」
「特製? 普通のと何が違うんだろう」
フンスと鼻息は大きく自信ありげな様子だ。さて如何な物かと肉につけて口に入れる。
66: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:14:54.38 ID:nY0iWbpOO
「たーまやー!」
「かーぎやー!」
市販の打ち上げ花火だから星空まで高く咲くわけじゃないけど、やっぱり轟音と共に花火が広がる音はいくつになってもテンションが上がる。周りに誰もいないのをいいことに俺たちは夜遅くまで花火に興じた。近所迷惑だー! と怒鳴り込んでくる人がいたらいたで俺たちにとっては朗報だし、そういった意味もあって娯楽とサバイバルを兼ねているのだ。
67: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:15:26.75 ID:nY0iWbpOO
「部屋の中で寝てて良かった」
12月15日がリセットされた朝、外は雪は降っていないが吐く息が白くなるくらいには寒く冬が訪れたようだった。前もそうだったけど夏が来た後は秋をすっ飛ばして冬が来るらしい。
「俺まで風邪ひいたら不味かったもんな。ほら、美穂」
68: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:16:06.64 ID:nY0iWbpOO
「ふふっ」
慌てる俺を美穂は笑うけどその声に元気はない。
「ねえ、プロデューサーさん」
69: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:17:22.50 ID:nY0iWbpOO
「なぁ、芳乃。君は一体何があったんだ」
帰ってきた亜季から薬をもらい美穂の部屋の中に入れておく。扉を開けることがしても彼女は気付かないくらいに深い眠りについていた。みんなは寮にいても退屈だという事で、加蓮の提案で遠くまで遊べそうなところを探しに行っているそうだ。つまりこの寮にいるのは俺とおやすみ中の美穂、そして石像となった芳乃だけ。窓のカーテンは閉まっていて暗くなった部屋の中、ポツンと立っている芳乃は寂しそうに見えた。
「肇も悠貴も心配してる。でもどうすりゃ良いんだ……?」
70: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:18:27.74 ID:nY0iWbpOO
「いや、待てよ」
芳乃は肇に何かが起きそうな事を話していた。予め何か知っていたのなら、俺たちに対してヒントを残してたりやしないだろうか。万が一自分の身に何かあったとしても、対処できるように。
「……すまん芳乃、ちょっと探させてもらうよ」
71: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:19:08.92 ID:nY0iWbpOO
「昨日はすみません、熱出してみなさんに迷惑かけちゃって」
「気にしないで美穂ちゃん。私たちが体調悪くしたら、その時はお願いね」
「うん。卯月ちゃん、ありがとうね」
72: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:19:58.51 ID:nY0iWbpOO
「ではこれより射撃訓練を始めます、! ここでは私が教官であります! 話しかけられた時以外口を開くな! 分かりましたか!?」
「イエスマム!」
「……何やってんだ?」
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