70: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:18:27.74 ID:nY0iWbpOO
「いや、待てよ」
芳乃は肇に何かが起きそうな事を話していた。予め何か知っていたのなら、俺たちに対してヒントを残してたりやしないだろうか。万が一自分の身に何かあったとしても、対処できるように。
「……すまん芳乃、ちょっと探させてもらうよ」
女子の部屋を探るのは気が乗らないし本当なら肇に頼むのがベターなんだろうがチャンスは今しかない。頭の中の芳乃が構わないのでしてー、と言ってくれたと信じて探索を開始する。
「ん……?」
これ見よがしに机に置かれた封筒が目についた。送り主は……芳乃のばばさま?
「ダメだ、中身が抜かれている」
探し回ったけども中身と思しき手紙はない。もしかしたら誰かが抜いたのだろうか。
「何やってんの? プロデューサーさん」
「えっ? 加蓮?」
探し物に夢中になっていて気が付かなかった。開いたままの扉の向こうでコート姿の加蓮が訝しげに見ていた。
「えーと、これはだな……芳乃の部屋を掃除していて」
「そうは見えなかったけど? ま、なんでも良いけど。あんまりそういうことすると嫌われるよ?」
「肝に命じておきます。というか加蓮、もう戻ってきたの?」
「本当はもう少し車走らせるつもりだったんだけど、急に車の調子が悪くなって。それで引き返してきたの」
「マジか」
窓を見ると車が戻ってきて亜季が頭を抱えている。あとで車の様子でも見ておいてやろう。
「美穂の様子は?」
「まだ寝てるかも。でも薬ももらったから明日には良くなってるかな」
「明日って言うには時間が飛びすぎてるけどね」
そう考えれば、少しの風邪や熱は文字通り寝たら治りそうだな。スキップした時間の中で苦しんでいるその子には悪いけど。
「っと私も部屋に戻ろっと。プロデューサーさんに荒らされてたら嫌だし」
「してないって」
ニヤニヤ笑いながら言ってるあたり本気ではないと思いたい、うん。
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