小日向美穂「グッバイ、ネヴァーランド」
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69: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:17:22.50 ID:nY0iWbpOO
「なぁ、芳乃。君は一体何があったんだ」

 帰ってきた亜季から薬をもらい美穂の部屋の中に入れておく。扉を開けることがしても彼女は気付かないくらいに深い眠りについていた。みんなは寮にいても退屈だという事で、加蓮の提案で遠くまで遊べそうなところを探しに行っているそうだ。つまりこの寮にいるのは俺とおやすみ中の美穂、そして石像となった芳乃だけ。窓のカーテンは閉まっていて暗くなった部屋の中、ポツンと立っている芳乃は寂しそうに見えた。

「肇も悠貴も心配してる。でもどうすりゃ良いんだ……?」

 女子の部屋なので俺はあまり入ることがなかったけど、同じユニットで活動を共にする機会の多い肇と同時期に入所した悠貴は交代交代で芳乃の様子を見にきていたらしい。この異常な状況を楽しもうと思っても、やはり芳乃のことが気がかりなのか心から楽しんでるように見えないときもあった。特に肇はこの中に全ての元凶が混じり込んでいると考えてるから尚更だろう。

 プロデューサーとしていろいろなトラブルに対処してきたし何度も頭を下げてきたけど、流石にアイドルが石になったのは初めての体験だし世界ひろしと雖も俺くらいだろう。魔法の杖とかあらゆる呪いを解く薬草がこの世界にあれば話は早いのだけど、当然そんなものを用意してくれているわけがない。俺がこの世界の創造者ならそうする。素人推理だけど、あえて芳乃を石にして俺たちを見守る以外の選択肢を奪ったことに意味があるように思えた。

 逆に言えば、芳乃さえ戻ることができればこの異常状況から脱出できることが可能ではないだろうか。




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