68: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 07:16:06.64 ID:nY0iWbpOO
「ふふっ」
慌てる俺を美穂は笑うけどその声に元気はない。
「ねえ、プロデューサーさん」
「ん?」
「私が眠るまで、手を繋いでいてくれませんか?」
俺は無言で彼女と手を繋ぐいだ。熱を出した時はどうしても心が弱気になってしまう。中には学校が休めるぜヒャッハー! って子もいるだろう(俺がそうだった)けど、アイドルのみんなにとっては喜んでいる場合ではない。レッスンを休む、ならトレーナーさんに怒られるくらいで済むけど、折角取ってきた仕事を熱を出して休んでしまえば他の誰かに取られてしまう。一人一人が代わりのないオンリーワンのアイドルだ、なんて聞き心地の良い事を言ってみても結局いなくなればいなくなったで代わりの人が出てくる。
もし今、俺たちがここにいる間他のアイドルが別の空間で活動を続けていたのなら。彼女たちの代わりも台頭してきて元に戻った時には手遅れになってやしないか。
「すぅ……すぅ……」
そんな俺の不安をよそにいつの間にやら美穂は安心しきった寝顔を見せている。
「大丈夫。俺は君を最後までプロデュースするよ」
「すぅ……」
無防備すぎて悪戯したくなるけど起こしてしまうと悪いよな。枕元のプロデューサーくんに俺との役目を代わってもらって部屋から出ることにした。
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