113: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:18:46.38 ID:nY0iWbpOO
「……いや、そんなこと認めない」
何後ろ向きになっているんだ、俺。約束したじゃないか。最後まで美穂をプロデュースするって。大きく息を吐いて覚悟を決めた俺はスーツを整えてからて立ち上がる。
「プロデューサーさん……どこに行くんですか……?」
114: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:21:16.37 ID:nY0iWbpOO
「夢邪鬼! 美穂を返してもらいに来たぞ!」
誰もいない夜の城はファンタジーさも薄れて却って不気味だ。こつ、こつと俺の足音が響く中、突然周りのライトが点灯した。
「ホントしつこいね、あんた」
115: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:22:17.21 ID:nY0iWbpOO
「だーかーら、一般男性如きに俺は止められないっての。自分の立場わかるよう努力しようよ……ねぇ!」
「ぐっ!」
倒れ込んだ俺の顔を足で踏みつける。虫を踏み潰したかのように興味なさげに俺を見下すその表情は他人をどこまでも見下した顔だった。
116: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:23:45.22 ID:nY0iWbpOO
「幸せな夢を見せてやるってんだから争うなよ! 何でそんなに現実を求めるんだよ!」
「お前には分からないだろうさ……!」
傷つくことのない幸せな世界。確かにそんなものが選べるのなら、厳しく間違いだらけの世界なんて選ぶ理由がない。だけど違ったんだ。あの時俺は、美穂を信じるべきだった。互いの夢に向かって走り出すべきだったんだ。アイドルを言い訳に使い甘えてしまった。その結果、夢は呪いとなりねじ曲がって世界が狂ってしまった。
117: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:24:52.59 ID:nY0iWbpOO
「プロデューサーさーんっ!!」
「へっ?」
「ぴにゃあああああ!?」
118: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:26:11.73 ID:nY0iWbpOO
「危ない、プロデューサーさんっ!」
「ぴにゃあ!?」
「……えぇ」
119: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:27:01.23 ID:nY0iWbpOO
「きゃああ!」
「! 卯月!」
「わわっ! こないでくださーい!」
120: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:29:11.38 ID:nY0iWbpOO
「邪魔しやがって! まとめて蹴散らしてやる!」
『ぴぃぃぃぃにゃああああああ!!!」
夢邪鬼にとってもアイドルたちの介入は予想外だったらしい。大きな稲光が光ったかと思うと、何十倍もの大きさがあろう大きなぴにゃこら太が上から降ってきた。まるで怪獣映画のそれのようで、ご丁寧にも声にエコーまでついている。
121: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:30:02.32 ID:nY0iWbpOO
「その法螺貝っ!」
「亜季さんに素潜りでとってきてもらった、とっておきの法螺貝です! この時のために、用意していたんです。一発逆転の切り札を!」
「!? お、お前えええええ! 何をしている! やめろおおお! その娘をつぶせええええ!!」
122: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:33:44.90 ID:nY0iWbpOO
「芳乃さんっ! ってあれ?」
悠貴は唖然とした顔で見上げている。石像になっていた芳乃が車の中で光ったと思えば次の瞬間、どんどんと大きくなっていき天にも届きそうなほど巨大な姿を見せたのだ。
「そなたー、久しぶりでしてー」
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