122: ◆d26MZoI9xM
2019/12/16(月) 20:33:44.90 ID:nY0iWbpOO
「芳乃さんっ! ってあれ?」
悠貴は唖然とした顔で見上げている。石像になっていた芳乃が車の中で光ったと思えば次の瞬間、どんどんと大きくなっていき天にも届きそうなほど巨大な姿を見せたのだ。
「そなたー、久しぶりでしてー」
「お、おう、久しぶり……随分と大きくなったね」
親が知っている依田芳乃は151cmと小柄だったが……法螺貝の音で復活した芳乃はその何倍ものビッグサイズだ。例えるならば、だいだらぼっちの類だろうか。肩に乗っている肇の姿はさながらロボットアニメのパイロットのようにも見えた。
「育ち盛りでしてー」
「ソ-ダネ」
育ち盛りの六文字で片付けちゃいけないレベルだ。いくら真面目にやってとしてもここまで大きくはなるまい。ただ、特大ぴにゃをも見下ろすキョダイマックス芳乃の存在感は圧倒的だ。先ほどまで猛威を奮っていた特大ぴにゃも相手が悪いと判断したのか逃げ出した。あっ、海に沈んでいったぞ。わざわざ親指立てて。
「ででんでんででんー」
身体は大きなっても中身は同じなようだ。ちょっとほっとした。
「芳乃の石化を解く方法が法螺貝なのはまあ分からなくはないけども……あっ」
どうやってと聞こうとしてパズルのピースが揃う。さっき肇は亜季が取ってきたとっておきの法螺貝と言っていた。そして一つ、心当たりがあった。肇とショッピングモールに行った時、彼女は画材店の袋を持っていた。前に聞いたことがあるが……楽器としての法螺貝はそのものと石膏があれば作ることができるらしい。肇はあの時、芳乃を復活させるため法螺貝を一から作ろうとしたのだろう。
「私が未熟なばかりにー、夢邪鬼に好き勝手させてしまいましたがー、もうお痛は許しませぬー。必ずおぬしを止めー、この悪夢を終わらせましょうー」
ばばさまのー、名にかけてー。と決め台詞? を言い放った。
「あっ、私も芳乃さんと一緒です。おじいちゃんの、名にかけて! んん?」
決め台詞は疑問符をつけながらいうもんじゃないぞ。
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