86:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:21:00.83 ID:1/ZkFkMM0
曲が始まると、その場の空気の隅々が一斉に熱を帯び、私達と共に音と光が縦横無尽に弾け飛ぶ。
お嬢様もそこにいるであろう観客席は、もはや言うまでもないほどの盛り上がりようだ。
ラブライカの『Memories』とは違い、『GOIN’!!!』は前々からしっかり練習を積んでいた曲だ。
それに、今のこのステージ上には、馴染みのある15人のシンデレラプロジェクトのメンバーが勢揃いしている。
87:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:22:08.62 ID:1/ZkFkMM0
アーニャさんとの天体観測の時といい、最近の私はどうかしている。
これは、あの日お嬢様と一緒に見たライブの映像と、よく似ている。
私がいるべき世界とは、まるで遠いものだったはずの――。
88:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:23:57.31 ID:1/ZkFkMM0
「はぁ……はぁ……!」
あのまま倒れていたらと思うと、ゾッとする。
皆とのステージを台無しにするところだった。
89:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:28:05.28 ID:1/ZkFkMM0
近く、世界的なスポーツの祭典が東京で行われるに辺り、その暑さ対策が様々に検討されていた。
この日に舞い降りた雪も、その一環だったという。
つまり、人工雪による冷却効果の実証実験を行う場として、346プロがその事務局側の公募に応じたのだ。
真夏とはいえ夜間の、しかもアイドルのライブという、様相も条件も異なるものにも採用された辺り、まるで節操が無い。
90:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:28:43.17 ID:1/ZkFkMM0
「……アーニャさん?」
後になって知ったが、人工雪による演出は、アーニャさんの強い希望があったのだという。
91:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:30:45.13 ID:1/ZkFkMM0
* * *
――――
92:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:32:26.87 ID:1/ZkFkMM0
* * *
「はぁぁ……ハラショー……」
上野にある美術館。
93:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:34:08.12 ID:1/ZkFkMM0
あのフェス以降、私達の仕事は劇的に増えた。
私でさえ、それまではグラビアだけだったものが、最近は歌う仕事の方が多くなっている。
346プロの他のアイドルがパーソナリティを務めるラジオ番組のゲストに呼ばれたり、あろうことかテレビに出たこともあった。
それをこなすためのレッスンも比例して増えたため、ますますお嬢様のために費やす時間が無くなっていく。
94:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:35:46.87 ID:1/ZkFkMM0
私は呼んだ覚えはない。なぜか、アーニャさんと凛さんが誘ったのだ。
しかし、なかなかどうしてコイツも、絵画に対する造詣が深いように見える。
畑は違うとはいえ、アイドルという芸術を作り上げるものとして、一定の教養は持ち合わせている――ということか?
95:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:36:58.95 ID:1/ZkFkMM0
「今日は、ありがとう千夜。
アーニャだけじゃなくて、私まで誘ってくれて」
アイツとアーニャさんが私達を置いて先に行ってしまったのを見計らい、凛さんが改めて私に声を掛けた。
96:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:39:39.44 ID:1/ZkFkMM0
どうしても分からなかった。
あの『GOIN’!!!』で、私と凛さんのポジションは、確かに隣同士ではあった。
それに、一緒にレッスンを重ねてきていたし、複雑なライン移動もピッタリ呼吸を合わせてこなせるまでになっていた。
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