78:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:47:31.48 ID:QXbKSZYO0
おそらく、美波さんの様子を見に行っているのだろうと推察された。
私が懸念しているのは、美波さんの容態でもあり、彼女の本来のパートナーであるアーニャさんが、ステージに集中できないのではないかということだ。
それだけだ――そ、それだけ――。
79:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:49:13.21 ID:QXbKSZYO0
そう、今日はお嬢様だけでなく、黒埼のおじさまがわざわざ会場へ来てくれることになっている。
従者として、粗末なものは見せられない。
「黒埼家の、じゅ、従者として……私は、果たすべき……!」
「それよりも、白雪さん」
80:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:51:03.44 ID:QXbKSZYO0
「イェーイ、みんなーありがとーー!!」
「この後もぉ、すーっごく可愛ぃ子たちがたくさん登場するから、楽しんでってにぃ☆」
「みりあ達もまたあとで出てくるからねー!」
いつの間にか、凸レーションの出番が終わったらしい。
81:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:53:14.52 ID:QXbKSZYO0
出番が訪れ、意を決してアーニャさんと二人、ステージに立つ。
美波さんが急遽リタイヤしてしまった旨は、既に冒頭でアナウンスされている。
彼女の出番を期待してきた観客は、代わりにやってきた私を見てさぞガッカリすることだろう。
82:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:55:48.09 ID:QXbKSZYO0
後になって知ることだが、あの場には私の出番に期待して来たという観客も一定数いたらしい。
元々、ステージパフォーマンスの仕事が多くなかっただけで、思い返せば、他の仕事での露出は少なくなかった。
アイツの宣伝戦略、と認めるのは些か釈然としないが――。
83:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:59:05.55 ID:QXbKSZYO0
――――。
一言で言えば、上出来だったのだろう。
84:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:01:25.83 ID:1/ZkFkMM0
「……美波さん!?」
なんと、メンバーの中には、先ほどまで医務室で寝ていたはずの美波さんまでいた。
いつの間にかステージ衣装に着替え、ピンシャンとしている。顔色も良い。
85:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:08:13.47 ID:1/ZkFkMM0
「でもさ、ちよちー。楽しかったでしょ?」
後ろから肩をポンッと叩かれ、未央さんがニカッと歯を見せて笑う。
「これからもぉーっと楽しいことが待ってるにぃ☆」
86:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:21:00.83 ID:1/ZkFkMM0
曲が始まると、その場の空気の隅々が一斉に熱を帯び、私達と共に音と光が縦横無尽に弾け飛ぶ。
お嬢様もそこにいるであろう観客席は、もはや言うまでもないほどの盛り上がりようだ。
ラブライカの『Memories』とは違い、『GOIN’!!!』は前々からしっかり練習を積んでいた曲だ。
それに、今のこのステージ上には、馴染みのある15人のシンデレラプロジェクトのメンバーが勢揃いしている。
87:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:22:08.62 ID:1/ZkFkMM0
アーニャさんとの天体観測の時といい、最近の私はどうかしている。
これは、あの日お嬢様と一緒に見たライブの映像と、よく似ている。
私がいるべき世界とは、まるで遠いものだったはずの――。
88:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:23:57.31 ID:1/ZkFkMM0
「はぁ……はぁ……!」
あのまま倒れていたらと思うと、ゾッとする。
皆とのステージを台無しにするところだった。
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