白雪千夜「足りすぎている」
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83:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:59:05.55 ID:QXbKSZYO0
 ――――。

 一言で言えば、上出来だったのだろう。


 歌い終わり、二人で観客席に向かって頭を下げると、割れんばかりの歓声が上がった。
 アーニャさんが微笑みながら、彼らに手を振っている。

「チヨも。皆、喜んでくれますね?」

 促されるまま、胸の前で小さく手を振ってみる。

 ――た、ただ手を振っただけなのに、何の冗談かと思うほどの反応だ。

「アーニャさん、も、もう良いです行きましょう」

 これ以上はなんだか、現実の出来事として受け止めきれない。
 頭がおかしくなりそうだ。
 踵を返し、大股で歩いて舞台袖へ捌ける。


 降りた先では、メンバーの皆が手厚く出迎えてくれた。
 無我夢中でしかなかった私のパフォーマンスを褒めてくれているようだった。

「すごかったわ、千夜ちゃん! 私の立場がなくなっちゃいそう」



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