白雪千夜「足りすぎている」
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84:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 00:01:25.83 ID:1/ZkFkMM0
「……美波さん!?」

 なんと、メンバーの中には、先ほどまで医務室で寝ていたはずの美波さんまでいた。
 いつの間にかステージ衣装に着替え、ピンシャンとしている。顔色も良い。

 初舞台を終えたばかりで冷静な思考ができない身に追い打ちをかけられ、すっかり頭が混乱している。
 一体、どういう事なのか?

「ごめんね、千夜ちゃん。
 実は、予め皆で話し合っていたことなの。プロデューサーさんや、ちとせちゃんとも、ね」


 話を聞くと、どうやらお嬢様の差し金だったらしい。

 シンデレラプロジェクト内で、唯一自分の持ち歌が無い私に、お嬢様は疑問を抱いた。
 そして、アイツに問い質して事情を把握し、私を表舞台に引きずり出そうと画策したのだ。
 それは、私を起爆する機会を覗っていたアイツにとっても利害の一致があったのだろう。

 リーダーである美波さんにその意志が伝えられると、彼女の方から今回の“作戦”が提案された。
 つまり、アーニャさんのパートナーとして登場する方が、私にとっても良いだろうという、彼女の配慮だったのだ。
 他のメンバーも、皆一様にこれに賛同したという。


 納得した。どうりで無言の圧力があったわけだ。
 アーニャさんが私に、戯れに振付の模倣をせがんでいたのも頷ける。
 不自然なほど統制が取れていた学校の同級生の一団があったのも、当然にお嬢様の音頭によるものだろう。



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