白雪千夜「足りすぎている」
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78:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 23:47:31.48 ID:QXbKSZYO0
 おそらく、美波さんの様子を見に行っているのだろうと推察された。
 私が懸念しているのは、美波さんの容態でもあり、彼女の本来のパートナーであるアーニャさんが、ステージに集中できないのではないかということだ。


 それだけだ――そ、それだけ――。

「アナスタシアさんは、直にこちらにお越しになるのではと思います」
「どこにいるのかと聞いているんです!」

 思わず上ずった見苦しい声に、スタッフの何人かがこちらを振り返ったのが見えた。

「あ、う……す、すみません、私は、ただ……」

「白雪さん」

 ソイツは、大きな膝を畳んで私の前に屈みこんだ。


「初舞台は、誰もが緊張します。あなただけではありません」



 咄嗟に何も言い返すことができないのが情けない。

 膝の震えが、止まらない――。


「私は……お、お嬢様が……」



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