254:名無しNIPPER[saga]
2019/11/23(土) 23:59:21.96 ID:1/ZkFkMM0
視線を戻すと、目の前の人は黙して私を見つめ続けている。
「ここまで一つのことに夢中になれるなんて、思いませんでした。
一度は心を捨てた身としては、過ぎた幸せです。
私にとって、美というのは手に入れるものではなく、眺めて愛でるもの。
255:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:01:43.66 ID:Hn+oLRjQ0
「止めない」
頬から、お嬢様の手が私の首筋を撫で上げ、その指が彼女の唇にスゥッと止まる。
改めて気づかされる、息を呑むその美しさ――。
256:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:11:37.14 ID:Hn+oLRjQ0
――――。
「皆さん……スパシーバ!!」
257:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:16:32.77 ID:Hn+oLRjQ0
悉く、強い個を持つ集団の集まりだと、改めて思わされる。
この人達には皆、他者に分け与えずにはいられない、溢れるほどの力がある。
「チヨ」
258:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:20:02.85 ID:Hn+oLRjQ0
「謙遜ではありませんよ……すみません、そろそろお嬢様の」
咳払いをした。
やはり、言い慣れないな。
259:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:22:23.97 ID:Hn+oLRjQ0
美波さんがアーニャに寄り添い続けた人なら、LiPPSの人達もまた、クローネの仲間としてお嬢様に寄り添い続けた存在だ。
このステージにかけるあの人の想いを、おそらく私よりも、誰よりも理解しているのだろう。
「白雪さん」
260:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:27:27.20 ID:Hn+oLRjQ0
凄い熱気だ――。
屋外のように立ち見ではなく、座席が個々に当てがわれているはずだが、観客の人達は皆総立ちでステージに夢中になっている。
私はバレないよう、そっと後ろの立見席にさり気なく陣取り、その時が来るのを待った。
蘭子さんが手をバッと広げ、いつもの挨拶をする。
261:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:33:26.33 ID:Hn+oLRjQ0
な、なぜこの人が――先ほど、美城常務と一緒に見ると言っていたはずだ。
「やはりこういうのは、コッチで見ないと熱が伝わってこないからね。
美城さんも誘ったんだけど、断られてしまったよ」
262:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:36:57.30 ID:Hn+oLRjQ0
黒埼ちとせ 【 アクセルレーション 】
263:名無しNIPPER[saga]
2019/11/24(日) 00:42:59.86 ID:Hn+oLRjQ0
「お嬢様……」
縦横無尽に緩急をつけたリズムが加速していく。
呼吸をするのも忘れ、目を離すことができない。
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