白雪千夜「足りすぎている」
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24:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:35:53.67 ID:QXbKSZYO0
 シンデレラプロジェクトには、総勢15人のアイドル候補生がいる。
 元々は14人で構成される予定だったが、急遽増員が決まったらしい。

 その増員枠に、収まったのは私。
 お嬢様はというと――。
以下略 AAS



25:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:46:46.09 ID:QXbKSZYO0
 あてがわれた女子寮は単身用であり、お嬢様と私の部屋は隣同士にしてもらえた。
 もはやお決まりのように、お嬢様は私の部屋に入り、ニコニコしながら今日の出来事を聞き出そうとする。

「今日は、本田さん、渋谷さん、島村さんと一緒でした。
 ボーカルレッスン、ダンスレッスンをそれぞれ2時間ほど受け、私へのトレーナーの評価は、可も無く不可も無くといったところです」
以下略 AAS



26:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:51:04.93 ID:QXbKSZYO0
 候補生は、私と同年代の人達が多かった。

 三村さんが事務所に持ち込んだクッキーに、私が紅茶を用意すると、皆さんはとても喜んでくれた。

「甘美な愉悦がこの身に宿り、我が魔力の高まりを感じるわ!」
以下略 AAS



27:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:53:00.55 ID:QXbKSZYO0
 それまで静かにソファーに腰掛けていた渋谷さんが、立ち上がった。
「二人が撮影してるの、スタジオ棟の2階でしょ」

「おっ? なんだなんだしぶりーん、抜け駆けは良くないぞー♪」

以下略 AAS



28:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:54:29.89 ID:QXbKSZYO0
「……えぇと、千夜、さん?」

 スタジオへ向かう途中、長い廊下を歩きながら、渋谷さんがこちらの機嫌を伺うように口を開いた。
 しばらく無言の状態が続いており、彼女が先に根負けした形になる。

以下略 AAS



29:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:58:02.70 ID:QXbKSZYO0
 少し考え込むように俯きながら、渋谷さんは問いかけてきた。

「大したことではありません。お嬢様が推薦しただけです」

「笑顔、とか言われなかった?」
以下略 AAS



30:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:00:23.06 ID:QXbKSZYO0
 詳しく知らないが、自前の撮影用スタジオを社内に備える芸能事務所は、そう多くないのではと思う。

 着いてみると、思いのほか大勢の人がいた。
 被写体となるアイドルはほんの数人と思われるが、その十倍はいるであろうスタッフが辺りをせわしなく動き回っている。
 想像していたほど、簡単なものではないらしい。予め確認できて良かったと思う。
以下略 AAS



31:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:03:46.64 ID:QXbKSZYO0
「ダー♪」

 途端、先ほどまでのキリッとしたアナスタシアさんの表情がホロリと崩れ、まるで別人のようにあどけない笑顔を見せた。
 ボーイッシュでクールな外見とのギャップがあまりに大きく、思わずドキッとしてしまう。

以下略 AAS



32:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:05:14.57 ID:QXbKSZYO0
 何と言ったら良いのか――これも日本人的な感覚なのだろうか。
 いたずらに卑屈を構えたつもりは無いが、正確に言い表そうとすると、言葉に迷う。

「もてなす側として、満足のいくものをお出しできないことは、少々後ろ暗い思いがするものなのです」
「ニェット、チヨ」
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:07:36.11 ID:QXbKSZYO0
「……そういう事を言われたのは、初めてです」

 従者として仕える間、黒埼家の人達に感謝をされてこなかった訳ではない。
 ただ、彼女がありがたいと言った私の行動は、私にとっては当たり前に思っていたものだった。

以下略 AAS



34:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:08:21.97 ID:QXbKSZYO0
「よく分かりましたね。お前の分は、用意がありません」
「ちょ、ちょっと千夜ちゃん!?」

 新田さんと渋谷さんがなぜか狼狽える一方で、アナスタシアさんはクスクスと笑った。

以下略 AAS



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