白雪千夜「足りすぎている」
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33:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 22:07:36.11 ID:QXbKSZYO0
「……そういう事を言われたのは、初めてです」

 従者として仕える間、黒埼家の人達に感謝をされてこなかった訳ではない。
 ただ、彼女がありがたいと言った私の行動は、私にとっては当たり前に思っていたものだった。

「千夜ちゃんは、もっと気を楽にしてくれていいのよ。
 何というか、千夜ちゃんはいつも、お掃除とかお茶出しとか、皆のお世話をしてくれてばかりだから」
「それは私も思う、かな。
 あと、丁寧語はともかく、名字にさん付けじゃなくて、下の名前で呼んでくれた方がやりやすいよ」
「そうそう、まるでプロデューサーさんみたい。ふふっ」

 アイツを引き合いに出されるとは、心外だ。
 少しムッとする私の顔を、どこか満足げに見つめた渋谷さんが、後ろを振り返る。

「プロデューサーも、こっち来て食べたら?」


 何やらタブレットを睨んでいたアイツは、手を止めてこちらを向いた。

「ありがとうございます。
 ですが、私の分はおそらく無いのではと」



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