25:名無しNIPPER[saga]
2019/11/22(金) 21:46:46.09 ID:QXbKSZYO0
あてがわれた女子寮は単身用であり、お嬢様と私の部屋は隣同士にしてもらえた。
もはやお決まりのように、お嬢様は私の部屋に入り、ニコニコしながら今日の出来事を聞き出そうとする。
「今日は、本田さん、渋谷さん、島村さんと一緒でした。
ボーカルレッスン、ダンスレッスンをそれぞれ2時間ほど受け、私へのトレーナーの評価は、可も無く不可も無くといったところです」
「そっかぁー、いいなぁ楽しそう」
「なかなか、大変です」
お湯を沸かし、紅茶を淹れて差し出す。
茶葉もカップも安物だが、お嬢様はそれを嬉しそうに手に取った。
カップを持つ右手の手首を、軽く握った左手の上に乗せる。
黒埼家で使っていたカップは少し大きめで、力の弱い幼少期のお嬢様が、熱くて重たいそれを無理なく持てるよう、おじさまが教えたのだそうだ。
大人になられた今でも行う見慣れた仕草だが、その特徴的な持ち方は、いつ見ても瀟洒でサマになっていた。
「千夜ちゃんが楽しいなら、それでいいんじゃないかな♪」
お嬢様は、シンデレラプロジェクトには所属しなかった。
体力的に不適当と判断されたのだろう。
一方、346プロは即座にお嬢様を解雇することはせず、籍だけは確保することにしたようだ。
私がお嬢様より優れている点など、人並みの体力以外には無い。
お嬢様の魅力を慎重に見出そうとしているのなら、346プロはまだ懸命な判断をしていると言えるだろう。
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