【バンドリ】さあやとサアヤの話
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26:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:53:39.72 ID:YWfCY9A20

「あ、あの……」

 リミに対してそんな印象を抱いていると、まだカスミの背に隠れたままのタエがおずおずと沙綾に声をかけた。

以下略 AAS



27:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:54:29.83 ID:YWfCY9A20

「……うん、『トゥインクル・スターダスト』以外はポピパで叩いた曲だね」

「え……わたしの最初の歌……」とどこかショックを受けた風なカスミを横目に、タエが安心したようにホッと息を吐き出す。

以下略 AAS



28:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:56:03.10 ID:YWfCY9A20


「朝はパンの仕込み、それから三つ子の弟を幼稚園に送って、ウチの手伝い……」

 この世界の山吹沙綾のことを教えてもらった夜。沙綾は自室でスマートフォンのToDoリストを眺めながら、自分ではない自分の一日の予定を確認していた。
以下略 AAS



29:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:56:31.46 ID:YWfCY9A20

「私なんかと比べ物になんないなぁ……」

 沙綾もサアヤと似たような境遇を経て、香澄たちに出会って、そして夢を分け合った。だけどそれは似ているだけで、境遇の重さから言えばサアヤの足元にも及ばないだろう。

以下略 AAS



30:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:57:00.34 ID:YWfCY9A20

「私には無理かも……」

 その決断に至るまでの詳しい経緯を沙綾は知らないけれど、もし自分がまったく同じ立場になったらバンド活動に精を出すことなんて出来そうにもない。この世界の山吹沙綾はきっとものすごく強い女の子なんだろう。

以下略 AAS



31:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:57:43.85 ID:YWfCY9A20


 いくら願っていても明けない夜はない。見慣れない自室の奇妙な居心地の悪さに寝苦しい思いをしながらも、太陽は東の空から昇ってくる。

 昨日と同じようにスマートフォンのアラームに起こされた沙綾は、部屋の中を見回して、やっぱり自分が違う世界にいるんだということを否応なく突き付けられた。
以下略 AAS



32:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:58:33.88 ID:YWfCY9A20


 見慣れない店で慣れたことをやって、見慣れない弟たちを見慣れない道を通って幼稚園へ送迎して、少し父親と違った父親にやたらと気遣われているうちに学校へ向かう時間になった。

 沙綾は慣れないブレザーに袖を通し、カスミたちに教えてもらった花咲川高校の自分の教室を目指して歩を進める。
以下略 AAS



33:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:59:34.78 ID:YWfCY9A20

「……ここが花咲川高校」

 迷子のような気持ちで学校へたどり着く。そこもやっぱり自分が見慣れたものとは幾分か違うところだった。

以下略 AAS



34:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:00:14.99 ID:YWfCY9A20

(ひとりぼっちなんだ……)

 言い方が悪いかもしれないけれど、そういうことだろう。人も少なくシンとした教室では、話し声も何もしない。窓の外の部活動に勤しむ生徒たちの声だけがやたらと大きく響いてくる。

以下略 AAS



35:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:00:53.82 ID:YWfCY9A20

「はぁ」

 本当に異世界に迷い込んでしまったんだ、という重たい現実が頭の中を埋めて、うなだれた拍子にため息がこぼれ落ちた。そこで自分の机に何かが書いてあるのに気付く。

以下略 AAS



36:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:01:38.90 ID:YWfCY9A20

 カスミちゃんとサアヤの出会いは、この机に書いたメッセージのやり取りだと聞いた。なら、きっとサアヤも私と同じように、優しいカスミちゃんのメッセージに大きく助けられたことだろう。

 姿は見えなくてもひとりぼっちじゃない。時間差はあるけど話し合える友達がいる。

以下略 AAS



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