35:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 11:00:53.82 ID:YWfCY9A20
「はぁ」
本当に異世界に迷い込んでしまったんだ、という重たい現実が頭の中を埋めて、うなだれた拍子にため息がこぼれ落ちた。そこで自分の机に何かが書いてあるのに気付く。
机上に置いた鞄を床に下ろして、まじまじとそれを見つめる。
――沙綾ちゃん、その、頑張ってね!
何度か書き直したんだろうか。シャープペンシルで書かれたその文字の下にも、何か薄っすらと消えかけた文字の欠片が見て取れた。きっとカスミちゃんが書いたものなんだろう。
「……やっぱり香澄はどの世界でも香澄なんだな」
私の知っている香澄は、いつでも明るくまっすぐで、見ているだけで元気を貰えるとても優しい女の子だ。この世界のカスミちゃんとはちょっと似てないかな、と思ったけど、そんなことはなかった。カスミちゃんも香澄と一緒で、こんな寂しい気持ちをやんわりと埋めてくれる。優しさを分け与えてくれる。
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