30:名無しNIPPER[sage saga]
2019/05/25(土) 10:57:00.34 ID:YWfCY9A20
「私には無理かも……」
その決断に至るまでの詳しい経緯を沙綾は知らないけれど、もし自分がまったく同じ立場になったらバンド活動に精を出すことなんて出来そうにもない。この世界の山吹沙綾はきっとものすごく強い女の子なんだろう。
(でも、今は私がその“山吹沙綾”なんだから)
突飛もない出来事だけど、家族も、香澄も有咲もりみりんもおたえも、何もかもが違う世界に来てしまったことは確かな現実だ。いつになるのか分からないけど、そもそもアリサの言う通り戻れるのかどうかなんて保証は一切ないけれど、いつか自分よりずっと強いであろうサアヤがこの世界に戻った時の為だ。泣きごとばかりを言って自分ではない自分に迷惑をかけるわけにはいかない。気合を入れなくちゃ。
「ちゃんとやることを覚えておかないと……」
そう思い呟きながら、それでもそれがただの虚勢だと沙綾は自覚していた。
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